メイベルおばあちゃんは16歳

アリータ・リチャードソン
中村妙子:訳 朔北社

           
         
         
         
         
         
         
     
 この『メイべルおばあちゃんは16歳』は、『メイべルおばあちゃんが小さかった頃』から始まった〃メイべルおばあちゃん〃シリ-ズの五冊目です。
 百年以上も前に生まれたおばあちゃんが、キルトの布団の一枚の布やかごの中のボタン一つから、次々に、昔あった面白いこと、を語ってくれるこのシリーズも、最初は幼年向きでしたが、このメイべルが十六歳になり、初めて遠く家を離れて下宿して高校へ通う話あたりから、Y・A向き……実際にいま十六歳、十七歳という人ね……になってきました。
 高校とはいえ、いまの日本と違ってこの頃の高校は、出てすぐ学校の先生になったリする時代です。
 十八歳ともなればまじめに結婚を考えるレディーだったわけで、まだ子どもっぽいところと、まっすぐに大人になっていくストレートさが混じって、気持ちのいい物語になっています。
 時代的にも『赤毛のアン』や「ケティー物語』と同じ頃なわけで、雰囲気も似通ってますが、書かれたのが一九七○年代になってからなので、文体もテンポも新しく、やっぱリもう、いくらなんでも『ケティー物語』は使えないし、二十年前に訳された少女小説たちも、もう古いよねえ……と思っていたところなので実にありがたいです。
 高校の図書室にはモンゴメリー・ブックスと並べて、ぜひこのシリ-ズを初めから置いてください。もちろんこのテの物語が好きな大人にもどうぞ。
同じシリーズだからといって、児童コーナーに置いとくと、こういう本は腐ってしまいますので、ご注意を-。(赤木かん子)
『かんこのミニミニ ヤング・アダルト入門 図書館員のカキノタネ パート1』
(リブリオ出版 1997/09/20)