メタフィジカル・ナイツ

たむらしげる


架空社 1990

           
         
         
         
         
         
         
     
 今日は、最近でた楽しい絵本を四冊、紹介します。 まずは架空社の本を二冊。M.A.ウェザビーの『最後の恐竜』(文−J.マーフィ・島田香訳・一二六二円)、いいですよ。恐竜の絵本というと、えてして図鑑的な絵になったりマンガ的な絵になったりするんだけど、これはリアリステイックで動きのある絵と幻想的な雰囲気が見事に調和した傑作です。それからたむらしげるがCG(コンピュータ・グラフィック)を駆使した『メタフィジカル・ナイツ』も素晴らしい!
 CGはこーんなことができるんだぞーといわんばかりの派手ばでしいものが多いなか、この本はなんとCGによるモノクロの、しみじみとした夢の世界。問題は絵心なんだよな、ほんと。
 そういえばTOTO出版の「トイレの絵本」シリーズ(九七一円)もいい。たとえば、糸井重里の文と高畠純の絵による『トイレをたすけたさるこ』は、ジャングルの案内人さるこが、人間がトイレというものをさがしていることを知り、トイレを助けようとするお話。「いつかトイレがきて『にんげんに、わたしのいばしょをきかれませんでしたか』ってきかれたら、『もうだいじょうぶよ。あんしんしなさい』ってかたをたたいてあげようとおもった」絵もこの文章にぴったり!
 仲畑貴志の文と玄亀阿仁磨の絵による『トイレの前は気をつけよう』や川崎徹の文と遠藤佳子の絵による『地下鉄に乗ってきりんを見に行ったトイレ』もあわせてどうぞ。 百聞は一見にしかず。全国の書店の皆様、どうぞ店頭に並べてください。(金原瑞人

朝日新聞 ヤングアダルト招待席901021