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この本を読んだ時、「こんなに大きな夢を持つ人がいたのか!」という驚きに包まれました。 著者の串田さんは、八ヶ岳南麓(ろく)天文台「星の村」を、多くの人たちに支えられながら造った人です。この本では、星に夢中になって心が星に染まってしまった少年時代から、「星の村」ができるまでの、串田さんの19年間が語られています。 「だれもが利用できる天文台を造って、一般の人に星を紹介しながら、観測活動を続けたい」という思いを胸の内で温めながらも、それは、夢で終わってしまいそうなほど、実現から遠いものでした。 けれども、彼は川崎の自宅から50ccバイクに乗って、山梨、長野まで、天文台として条件の良い土地を探して回りました。調査に訪れた土地で、夜中じゅう空の状態を調べ、明け方、テントの中に潜り込んで震えながら寝た日々。 「たずね歩く山の麓(ふもと)の人々は、どこのだれかもわからない若造の、夢のような話を真剣に聞いてくれ、相談にのってくれ、ボクは温かい人の心にふれました」 未知の人との、多くの出会い。道のないところに、体を張って道を造っていく一途さと、その夢が伝染してしまった、たくさんの人によって、「星の村」は生まれました。 夢を温め、実現に向かわせる力は、何から生まれるのでしょうか?そのヒントが詰まっている本だと、思います。小学中学年から。
=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化いくた ちえこ
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