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こういう絵本を見ると、本当に心から笑いがこみあげてきます。おんなじことを、活字だけの本でもできるだろうけど、このスピード、この迫力、この圧縮度は、やっぱり絵本でしかできないものでしよう! ちっちゃくって可愛いから、大人たちからは〃うさちゃん〃って呼ばれていて、それがまたと−っても、気に入らないちびうさぎのジャンが主人公。大人になれば……っていわれたけどとても待てやしいよ、と思ったちびさんは考えたね。もう絶対うさちゃんって呼ばれないようにするには……世界一のワルのうさぎになればいいんだ!ってね。 とはいっても、ワルになるのもなかなか難しいでしょ。で困ったジャンはついに銀行強盗をするの。 でも銀行強盗というのは社会的な犯罪だからジャンは捕まってしまいます。これはジャンのやリたかったことに比べると、重すぎる罰だよね。で、これがうさぎが主人公の絵本のいいところ! なかで、ジムっていう名の友だちができて……二人はなんと、大脱走をするんです。なんせ穴をほるのはうさぎの得意技だから−。 で、おじいちゃんのとこにかくまってもらった二ひきは〃二ひきのこうさぎだいだっそう〃という新聞記事を見て、くすくす笑うの。 人間の子どももおんなじです。どうぞ嘘をついた、盗みをした、という表面だけを問題にしないで、その子の本当にいいたいこと、その子の必死のSOSをききとってください。(赤木かん子)
『絵本・子どもの本 総解説』(第四版 自由国民社 2000)
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