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「おぼえているのは、『かわいげのない あたし』『おとなぶってた あたし』」「親がおぼえているのは、『むじゃきな あたし』『バカな あたし』『ちゃんと こどもらしい あたし』」で始まる『むかしのあたし。』(なかがわみどり、ムラマツエリコ・作、大和書房、1200円)=写真=は、子どもと大人との心のズレを、活(い)き活きと描いている。 新しい服が似合うと、大人が盛り上がっていると「『どんなふうに よろこぶか期待して見てるおとなたち』をかんじて、スナオに反応できない」。うんうん。 おばあちゃんの所へ行ったときの挨拶(あいさつ)を教えられ、何度も練習していたのに、その場になると母親から「こんにちは、は?」と催促される。「『言われたからやってる』と思われるのもシャクなので ふてくされてると、『言ってもできない』と思われて、おこられる」。うんうん。 この絵本、大人になって忘れてしまった、子ども故の悔しさや歯がゆさを思い出させてくれます。子どもは大人から「子ども」扱いされているので、自分は「子ども」だと思って生きていますけれど、それでも大人に負けず劣らず、考え悩んでいるのを。腰を低くして今の子どもと接する気持ちになれます。若い人も大人になる前にぜひご一読を。そうしたら、「子ども」を忘れない大人になれるかもね。(hico) 読売新聞2003.04.07 |
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