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マキさんの絵って、尖ったものがないですね。かばんは四角いけど、角は尖っていないし、ヤギの角も先はちょっぴり丸くなっています。さて、このかばんを持ったヤギが、本作の主人公、魔術師ムッシュ・ムニエル氏。ヤギがなんで魔術師!?なんていってないで、ページをめくること。めくれば、なんともなつかしいような不思議な街があらわれます。作家の好きなもので満たされた、にぎやかな世界。でも、マキさんの絵本をみると、私はいつも音のない夢をみているような気分になります。たしかに、手に感触は残っているのに、実体がなくなっているような。ゆらゆらとした、でもたしかに在る、という感じ。 ムッシュ・ムニエルの魔術でびんにとじこめられた少年も、そんな気分になったでしょうか。となりに立たずむ少女は、少年の手を握ってさえいれば、なにもこわくはないのでしょうか……。ムッシュ・ムニエルの旅は続きます。 以前、福音館書店から3話1冊の絵本として刊行されていたものが、1話1冊となって、今回復刊されました。残りのお話は、秋と来春に。お楽しみに。 細江幸世 |
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