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『マイゴーストアンクル』は出版社が原生林ですから、作者がヴァジニア・ハミルトンでも、子どもの本ばっかり探していたら見つけられないでしょう。 どこの出版社から、どんな服を着せられて(つまり装幀ね)出されるか、特に外国からやってきた本たちにはあまり自由はないんですから。 でも英米文学の棚で『悪童日記』とか読む人たちの眼にはとまるかも……。 もしそういうお客さんがいたら、一応この本もすすめてみてください。たぶん満足してくれると思います。だって凄い本なんだもの。 主人公は十三歳くらい? 黒人の母子家庭で、お母さんは金持ちの家へ住み込みの家政婦で行っていて、週に一日しか帰ってきません。 これだけでもひどいのに、病気の兄さんもいて、学校に行きながら、料理にそうじ、洗たく、お兄ちゃんの世話……と女の子が一人で引き受けてやっているんです。 当然、苦しい……。 でも彼女、自分が苦しいってこともわかってないんだ。 だって、ずーっとそうだったから、子どもの彼女は人生ってそういうもんなんだ、と思い込んでたんですよ。 お兄さんの病気がひどくなって、助けられない絶望感その他がひっからまって、遂に彼女は大爆発を起こす。 初めて〃私は怒ってる!〃ってわかるのよ。 物語としても文学としても、第一級の逸品です。(赤木かん子)
『かんこのミニミニ ヤング・アダルト入門 図書館員のカキノタネ パート2』
(リブリオ出版 1998/09/14) |
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