四字熟語集

奥平 卓 和田武司:著
岩波ジュニア新書135

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 「眼光手低」(がんこうしゅてい)理想は高いが実行力がともなわないこと。今まで、わたしは考えは高く行動は着実にという意味だとおもっていました。明治の小説家・徳富蘆花が使った言葉とは、初めて知りました。「一知半解」(いっちはんかい)少し分かったぐらいでいばっている、といったぐあいにこの言葉をバカにした形でだけ使ってきたけれど、そんな分かったような顔をするよりも「一を聞いて二を知る」努力こそ大切、ということをこの本で教えられました。
 わたしたちの生活にとても深くなじんでいる”四字成語”ですが、この本には四字すべてを音読みに限った百八十八の言葉が選ばれ、その意味・成りたち・使い方、そこからひろがるものの見方考え方が書いてあります。わたしたちは漢字や熟語というとすぐ学校のテストのことしか考えませんが、この本はテストの知識にも役立つうえ、どこを開いて読んでも楽しく新しい発見の喜びも持てます。
 例えば偏差値に「生殺与奪」の権を握られてしまった人間――そんな仲間が、きみたちの周囲にもますます増えていないかといった書き方がこの本です。(仁)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化大塚菜生