夕あかりの国

マリット・テルンクヴィスト絵 アストリッド・リンドグレーン文 
石井登志子訳  徳間書店 1949(テキスト)1994(絵)/1999

           
         
         
         
         
         
         
         
         
    
 良い作品だと思います。絵と文が合っていて、と言うより絵がよく文を表現しているといった方がいい。これは、書評にもありましたね。
 
 私がひっかかるのは、ヨーランの状況です。足が悪い人が1年中ベッドで過ごしているなんて・・・・  これを読んだときリンドグレーンという人は足が悪い人では無いなと思いました。多分「この絵本で1日中ベッドで過ごす子どもの心が癒され、解放される」などという紹介がされるのでしょうけれど。暖かき大人の配慮。それもいいのですが(すきにして)、足が悪いぐらいで、ベッドに縛られていませんゾ。まして釣りをなぜあきらめる。四階だから?悲しそうにするくらいなら、一階にお引っ越しなさい、ヨーランのかあさんよ。
 
 で、ここで自己紹介。どうでも良いですが、匿名の人の文は受け入れにくいのでは?子どもの本に、関わっています。文庫はしていません。小学校の「ぶんこ」の手伝いはしています。好きで読んでいます。年齢は長谷川くんと一緒。違う工場のミルクを飲んでいて、親が慌てたというくち。子どもと夫はいます。
 ひこさんのホームがスゴイと教えられて、アクセスするためには、作品を読まねばと(読んでいなかった)本屋に買いに走った(??)という律儀者。
 
 ついでに言えば、けが(10さい)の後遺症を治すために、車椅子・松葉杖体験あり。二年前に、八ヶ月ほど。老年になったらまたどうなるかわからない潜在的足悪い人。今はなんてことはない。だからなのだろうけれど、ヨーランの状況が、暗すぎると思う。他の状況の子は多分、理解を示し、自分も解放される実感があるかも。しかし、足の悪い子に限っては、ナイ。「なんで、わたしを閉じこめる!」です。不便だけれど、閉じこめられてはいないよ。特に子どもは。
 人は見たもので判断するしかないし、それも認めるけれど、車椅子=かわいそう。障害=かわいそう。とひとくくりする事によって安心感を得たいという者の考え方には同情する。かわいそうと自分で思っている人は障害者にも健常者にもいくらでもいる。あの人かわいそうにと思って自分を慰めている無自覚かわいそう人は多数。
  
 この作品、残念ながら足の悪い人を閉じこめる。解放などしない。でも大多数の人は気が付かない。違う状況を設定して欲しかった。とても良い作品なのに。

 そう、この作品いろんなところで紹介したいとおもいますよ。一言付け加えてね(これが長かったりして)。(宮崎雅子)