ラクソーと二ムの家ねずみ

ジェイン・レズリー・コンリー作
越智道雄訳 冨山房 1994

           
         
         
         
         
         
         
     
 巨大研究機関『ニム』では、家ネズミたちの知能を急激に高める実験が行われていた。
 そこから数匹が逃げ出し、国有林の奥にある「ソーン」の谷間で自由共産的な生活を営んでいた。ところが平和に思われた谷間に異変が起こり始めた。川の水かさが例年よりもはるかに多く増え続けているのだ。
 調査を開始したネズミたちは上流で進められているダムの建設が原因であることを知った。ダムができてしまえば、ニムのネズミたちのすみかはもとより、国有林全体の生態系がくずれてしまう。
 家ネズミたちはダム破壊を計画し、行動を開始する。
 ニムのネズミたちの平穏な生き方と人間の生活圏にいた家出ネズミ、ラクソーの変化と成長を通して、現在の高度管理社会に多くの疑問を投げかけている。(喜多由美子)
『子どもの本-新聞書評から7』(子どもの本書評研究 1996)