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これはドイツの本で、主人公の女の子は十歳くらいです。 でもね、主人公はその子のはず、なんだけど、どういうわけだか、あっという間にこの子はダシ、になってしまって、主役の座はお父さんがぶんどってしまう。 両親は離婚したばかリです。 どうして離婚したのか、誰にもよくわかっていない……子どもがいるのでお父さんが一人トランク下げて家を出ていったわけで、お母さんは仕事があるし(司書よ)、子どもたちの世話もしなければならない……というわけで良い意味でも悪い意味でも考えてるヒマはないんですが、一人ポツンとアパートを借りて、帰っても誰もいない、という暮らしになったお父さんはね(といっても三十代だからまだ子どもに近いわよね)、考えて考えてプッツンして、ある日学校帰りの娘を連れ出してバカンス旅行にいっちゃうの。 こリゃ、誘拐だよ。 もちろんお母さんは逆上して、お父さんは警察のおたずね者、になっちゃうわけてすが、この非日常的な事件のおかげで、一見ちゃんとしてるように見えるお母さんも本当はちっともちゃんとしてないんだ、それだけの力はまだないんだ、ということがバレてしまいます。 お父さんは旅の途中会った三十代のタフな女性のマッサージ師にマッサージしてもらって泣くわけですが、時間のない方はここの見開き一ぺージだけ読んでくださっても用は足ります。その時代の最先端を書いたもので、いささか骨皮筋ェ門ですが、特に女の人には興味深いでしょう。(赤木かん子)
『かんこのミニミニ ヤング・アダルト入門 図書館員のカキノタネ パート2』
(リブリオ出版 1998/09/14) |
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