わたしのお母さんは世界一びじん

B・ライアー/文 P・ガネッ卜/絵
光吉郁子/訳 大日本図書

           
         
         
         
         
         
         
     
 〃美人〃てコトバを使うのは、なかなか難しいものです。特に男性が書いた小説、エッセーその他で女性の形容詞に〃美人ルなんて使ってあったら、なんだ、この作家、女がちゃんと描けないのね、なんて烙印を押されてしまうくらい、使うのが難しい単語です。日本人の男性作家で、この単語が使える人って、ほんと二、三人じゃないかな。なのにこの大胆なタイトル!-わたしのお母さんはせかいいちびじん-
 思わず、おおっと思う人も多いでしょう、特に男性諸君は-。
 この本に出てくる男たちもそう思ったんだよ。
 お祭で、小さい女の子が迷子になって、お母さんてどんな人? という質問に、わたしのお母さんは世界一の美人よ、という答が、誇らしげに返ってきた時には-。
 その答のおかげで、そこらじゅうの男たちが全部、この女の子のお母さん探しに血眼になる、という、これはよくもまあ、こんな話思いついたなあ、というか、日本人にはとうてい思いつけない発想だと思うけど、実際こういうことがあれば、日本の男たちも血眼になるかもね。
 こういうユーモアって……凄い!
 でも子どもたちはね、そんなウラを読むみたいなことはしないから、うん、そうだ、そうだ、その通り! とマジメに共感してくれるでしょう。さて、どんな美人だったか、は読んでみてのお楽しみ! 声に出して読んだら二○分くらいかかるかな、四才くらいからたぶん大丈夫だと思います。(赤木かん子)
『絵本・子どもの本 総解説』(第二版 自由国民社 1997/01/20)