アクアノートの休日(前)
先日久しぶりに海遊館へ出掛けたら、相変わらずの人の多さ。それは何も海遊館に限らず、どこの水族館もここ数年人気があるのはご存じの通り。本物の水族館だけやなくて、デパート、病院、駅、地下街の通路、いつのまにかそこここに水槽が設置されている。
はやり言葉で言えばヒィーリング。自由気ままに(もちろん本当はそうやないですが)泳ぐ魚を眺めることは、心を癒す効果があるらしい。もっとも私の場合は、あのシマアジは鮮度が良くておいしそうやなあーとしか思えんのですが。
実は同じ日に天王寺動物園にも出掛けたのやけど、こちらはやや寂しげ。一説では匂いに過敏な現代人だから、ほぼ無臭な水族館が受けているとのこと。確かに動物園は糞尿から体臭まで、陸生動物の匂いに溢れていて、それは要するに露骨なほど具体的な自己主張なのですが、「そういうのはちょっとかなん」というのが現代の気分なのかもしれませんね。それに檻は私たちが動物を囲う欲望を露骨に見せてしまうけれど、透明なアクリルの水槽は柔らかな管理やから。
と考えれば、モニターに映るゲーム世界で時間を過ごしている現代の子どもの気分とも重なってきます。露骨な自己主張と欲望を忌避したい気分と。
確実に無臭の水槽があります。このソフトね。
アクアノートの休日(後)
雑誌に掲載されたキャッチコピーは、「満たされない心を癒す何かが、この海で待っている」。
さてゲーム内容はというと、基本的には何もしなくていい。潜水挺に乗って好き勝手に海中を動き回り、ポリゴンで描かれた様々な魚が泳いでいるのを、ただただ眺めているだけ。ボタン操作で四つの音を発することができ、それによって魚が逃げたり近寄ったりする。気に入った魚やクジラを発見したら、ブイを打ちあげておけば、再び発進したとき、いつでもその場所にワープできる。
モンスターとのバトルも、解かないと先へ進めない謎も、複雑なコマンドを入力して必殺技を繰り出す必要も、文句を言う住民もなし。クリアしなければならない目的が設定されていない。
これはゲームなんやろうか? と考えてしまいます。
けど、やがて、何もしなくてええというのも何だかな、なんて気分になってくるのが悲しいところ。魚の数もどうも少ないし‥‥。
実は漁礁モードというのがあって、ある場所に様々な形に漁礁を組み立てることによって、色んな魚が集まってくるのやね。漁礁の数を増やすためには、できるだけ多くの場所を探索しなければならない。がんばれば報われる。がんばるでえ。あれ、結局いつものゲームと同じノリになってしまう。どこが休日やねん。やれやれ日本人。