バハムート ラグーン(前)

 先日TVゲーム界に衝撃が走りました。スクウェアが、「FF」(ファイナル・ファンタジー)シリーズの最新作を、任天堂ではなくソニー(プレイステーション)用に開発すると発表したのです。これは実質的には任天堂と別れ、ソニーと手を結ぶという宣言でしょう。このスクウェア、「ドラクエ」のエニックスと共に、スーパーファミコンを支える中軸会社。「FF」を出さなかった昨年でも4本で四百万本以上出荷の実績。
 「FF」の場合、二百万本以上売り上げるのですが、中古屋での回転率を考えれば、恐らくプレイヤーの数はその数倍。現在のところPSの売上台数は二百数十万やから、その数をはるかに上回る「FF」ファンがいるわけです。その全てではないにしろ、半分の人でもこの機会にPSを購入したら、ハードの売上は飛躍的に伸びます。
 PSへ舞台を移す理由は、CDの容量の大きさと、ソフトの値段を下げることができること、が公式発言。スレた大人の耳にはちょいと奇麗事に聞こえますし、様々な憶測も流れていますが、私ら素人は、安い、早い、うまい、王将の餃子のようなソフトさえ提供してもらえればとりあえずはいいわけで、そうなるように祈りたいけど。
 今年に入ってから、スクウェアはスーファミ用のソフトを急ピッチで発売。何をそんなに急いでいるのって感じやね。
 これもその一つ。

1996/04/24

バハムート ラグーン(後)

 RPGであるこのソフト最大のウリは、色んな所で仲間となったドラゴンたちに、様々なアイテムを食べさせることで、彼らを好みのタイプにできる点(ただし残念ながら。プリンセスや、丈夫な踊り子さんにはなりません)。ってことは、プレイヤーが個々のドラゴンに対してどれだけ愛着を持てるかが、出来不出来の分かれ目となる。が、彼らを育てるのは戦闘要員にするためなのやから、最終的にはより強くすることだけが大事となります。だから無理やり育てさせられている感じがだんだん強くなる。
 しかも、強くなった彼らは主人公たちにとってとても頼りになる‥‥、のやけれど、これがまあどうしたわけか、強くなりすぎる。後半にもなると、バトルの殆どは彼らに任せても大丈夫、どころか、へたに主人公なぞを前線に立たせると、すぐにゲームオーバーになるから、任せるしかないのが実情。主人公は、せいぜいが、止めを刺す位のこと。つまりごっつう卑怯で姑息な主人公なんやね。
 PS移行のために、急ピッチで製作しているせいの練り込み不足かな?
 けど、金と時間を費やしたプレイヤーとしては、プラス思考をせなソン。
 これは、RPG史上初めて、卑怯で姑息でも勝て時は勝てるのやという、現実にはままありがちな真実を、子供プレイヤーに伝えようとしたのだ。

1996/05/01


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