デジタル・キッズ(小学館)
私はTVっ子ではありません。何故ならTVは、私が小学六年生のオリンピックの年に、わが家へ降臨されたものやからです。それは今でもエイリアンです。ところがTVっ子たちは、物心ついた頃すでに目の前にTVがあり、何ら違和感がない。
コンピューターに対して同じような関係を持つ子どもたち。『インターネットやるぞ!』(石野伸子さんガンバレ)とばかりコンピューターと格闘するのやなく、それを何かをするための道具として楽々と操る子どもたち。いくら遅くとも十年後には彼らは登場してくる。取り敢えず私は、彼らをコンピューター・キッズと呼んでます。おそらく彼らは、それまで電気紙芝居にしかすぎなかったTVのアイデンティティを、TVっ子たちが確立していったように、コンピューターをコンピューターたらしめるでしょう。
この雑誌はそうしたコンピューター・キッズの台頭を見越して、というかそうした層の台頭を促すための、パイロット版。デジタル・キッズなるネーミングは、私のコンピューター・キッズより、拡張性があっていいかも。
何と言っても、当然のようにCD−ROMが添付されているのがいい。大人向けのコンピューター雑誌ではあたまえやから、子ども向けもこれでいいのだ。CD−ROMの中身はミニ四駆の改造データや、女の子の着せ替えゲームなど。おまけはおまけやけど、コンピューターの可能性を子どもたちに伝える魅力はある出来。さすが、小学館。
文中の「『インターネットやるぞ!』(石野伸子さんガンバレ)」とは、当時同じ紙面の私の欄のちょうど上で、連載されていたもののタイトルとその書き手の名前。記者である石野さんが、インターネット接続から、htmでホームページを作るまでのドキュメント。