スーパー桃太郎電鉄DX(前)
ゲームソフトには予め、作り手の名前を教えてくれていないものが多い。多数のスタッフによって製作されているから、との意見もありますが、同じく多数のスタッフによる映画がそれを鑑賞する前から監督の名前を知ることができるように、責任の所在を明らかにすることはとても大事です。ゲームでも映画でも小説でも、ユーザーはそれの出来を買う前に知ることができないのやから、せめて判断材料としてそうした情報をちゃんと提供するのがフェア。それをしてくれないもんだから、ユーザーはまま、ソフト会社の名前で判断します。監督が誰か知らんけど東宝映画やから観ようとか、作者誰か興味ないけど岩波書店のやから読もう、やね。そんなのって、作り手側の現場かて嫌でしょ。プライドがあるのやったら。
もちろん「ドラクエ」の堀井雄二とか、「トルネコ」の中村光一とか僅かにはあるけど、それらはビッグタイトルになったからビッグネームがウリとして全面に出されるだけって感じがまだまだする。
さくまあきらも、そんな一人。でも「スーパー・桃太郎電鉄・DX」のパッケージ、左下に小さくながら「監督・さくまあきら」と堂々と銘記している。このソフトは彼の責任において作られた「作品」なんやなと納得できる。
とても大事なことを彼はちゃんとしているんやね。
スーパー桃太郎電鉄DX(後)
西洋の神話・伝説・昔話・中世騎士物語・ファンタジーから素材を採ることの多いRPG界において、日本的なそれをアレンジしたのが「桃太郎伝説」。桃太郎が金太郎を仲間にして、かぐや姫を救うために鬼退治に行くなんて、分かり過ぎる程分かる段取りで、途中にすずめのお宿で逗留するときたらもう、文句なんぞつけようもなし。そんな「桃・伝」のキャラを使ったボードゲームのシリーズ最新作。
ま、TVゲーム上でのスゴロクです。
ご存じのように将棋やチェスなども、スゴロクから派生したゲーム。それらに共通した要素は、そこで人生をシミュレートできる点。対戦相手と丁々発止、駆け引きも駆使しながらゴールを目指す。私たちが毎日やっていることと同じ。何千年も昔から人間がそれを楽しんだのはよく分かる。
所でボードゲームって正月に家族揃って結構やりませんか? それはね、正月がハレの時間やからです。ハレとは親だとか子どもだとかの日常(ケの時間)の力関係を一切チャラにすることやから、まさにボード(平面)世界。そこでフィフティフィフティになった親と子どもが人生をシミュレートしながら戦うわけ。
もはやほぼ完成されたこのゲームは、今年の正月を盛り上げるやろう!
‥‥‥来年か。