ナムコミュージアム(前)
「天保山現代館」で、九月一日まで「ビット・ジェネレーション96展」が開かれていて、世界初のTVゲームやアタリ社の「ポン」などの初期のアーケードゲームから始まって、32ビット機までが展示され、TVゲームの進化と歴史が眺望できます。そして、アーケードのも含めて幾つかは実際にプレイできるようになっています。この辺りが単に鑑賞するだけでは意味がなく、干渉して初めてその価値が成立する、TVゲームメディアの特徴をよく表しているのやね。
私が出掛けたのは平日の午後であるにもかかわらず、三〇過ぎの男性、どこから見てもサラリーマンの人々が結構いて、おそらく子どもの頃熱中したのであろうアーケードゲームをプレイしていました(そこここのゲーム機が故障中なのは、それらが古いからなのか、彼らがやり込みすぎるからなのかは不明)。けれどここはゲームセンターではなく展覧会場やから金銭を費やすことからくる熱気はなく、かといってノスタルジーが漂っているのでもない。わずか一五,六年前のゲームがここに、歴史資料/遺物として展示してあること、つまり自分の子ども時代が歴史資料/遺物として扱われていること、そしてそれと再び戯れている自分。違和感と親和感の不思議な融合へのとまどいがそこにはあったんやね。
「ナムコ・ミュージアム」は、そんなシーンをもまたまたゲームの中に取り込んでしまう一品。
ナムコミュージアム(後)
このソフトは過去20年近くにおよぶナムコのアーケードゲームの中から選りすぐりをCDに収める企画。「ミュージアム」とタイトルにある通り展示通路があり、そこではゲーム機に貼り付けてあった操作説明のシールから、キャラクターグッズまで、さまざまな資料を眺めることができます。もちろんそれは、ミュージアムのパロディ程度のものなんですが、工夫次第ではCDが、ゲームに関する貴重な資料集、データベースとなる可能性を示しています。と同時に、本物のTVゲームの博物館/資料館/研究館がまだ存在しないことにも気づくんやね。今なら資料集めにもそれほど予算がかからないから、どこぞの自治体が名乗りを上げないものやろうか?
ふるさと童話なんたら賞とかやるより、ずっと将来性があるのは保証しますけどね。
さて、展示通路を通り過ぎ、過去に熱く燃えた台(一巻目では「パックマン」「ボスコニアン」「ギャラガ」辺りがポピュラーでしょうか)に向かい合って下さい。コントローラーでプレイするせいか、体が覚えている必勝テクが通用しないこともあるでしょう。そして、確かにそのゲームは過去のもので、最近のゲームと比べると、全く別の世界のものと言ってもいいほど、見場が違います。だから、興奮の度合いは最近のの方が大きくて当然なのですが、やってみて分かるのは、そうとも言えないこと。ゲームの価値は、新旧にはなく、面白いかつまらないかだけにある、当たり前のことを再確認できます。