プリンセスメーカー(前)

 元々はパソコンで人気のあったタイトル。ってことは元々は大人向けです。「深紫伝説」の王様流に直訳すれば、「王女製作屋」。
 天からやってきた十歳の少女を、父親となって一八歳まで育てる。あなたは、この少女の誕生日と血液型を決定することができる。誕生日はまあ、産婦人科と相談して無理やり出産で、なんとかなる(それも無茶やが)かもしれないけど、自分の血液型がAで連れ合いはOで娘がBじゃシャレにもならないのに、それができる(ちなみに誕生日は十一月一日がよろしいかと思う)。あなたは神様なの。
 モニターの中の可愛い少女を、自分の望み通りに育てられること。あーと、あくまで父親としてですよ、父親として。けど、仲間を引き連れて世界を救うよりずっと、光源氏の気分であることは確か。「マイフェアレディ」や「プリティウーマン」を少女でやるわけ。 発売元はあのダッコちゃん、いやリカちゃん人形のタカラです。少女ユーザー向けのおもちゃであるリカちゃんに於いて、父親人形をなかなか定着できなかった(何故なら日本の家庭では、仕事人間の父親は希薄ですからね)タカラがプレイヤーを父親にしてしまったのだ、とは深読かな。日本の父親を父性に目覚めさせるためのソフト!
 なわけないか。

1996/03/06


プリンセスメーカー(後)

 彼女を育てるにはお金がいる。王様からも支給されますが、それじゃあとても足りない。どうするか。どうします? 残業? ブー。彼女を働かせるの。
「父親が、十歳の少女を働かせるなんて、とんでもないゲームや!」。
けど、日本で言う児童福祉法に相当する、「連合王国の工場の児童および年少者の労働を規制する法律」ってのが世界で最も早く英国で制定されたのは一八三三年やから、七世紀末に設定されているこの世界では、彼女が働くのは当たり前のこと。子どもは消費者なんかやなかったわけ。
 させる仕事の種類によって、彼女は気立てが良くなったり、気品が上がったり、体力がついたり、色気が出てきたりする。稼いだお金で今度は家庭教師を雇い、礼儀や絵画や自然科学や語学や剣術などを学ばせる。どんな仕事をさせ何を学習させるかで彼女の性格は変わり、非行に走ったり、悪い虫(男)がついたり、家出をしたりと大変。そうそう四季ごとに着替えもさせてあげないと風邪ひいたりグロッキィになったりもします。あっと言う間に八年がすぎ、さてさてどんな娘になるのかドキドキ。私の場合プリンセスなぞつまらんので、戦士か騎士にしたろうと体力鍛え、武者修行に旅立たせ、武闘会で二年連続優勝するほど強くしたら、丈夫な踊り子さんになってしまった。なんでや?!

1996/03/13


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