第4次 スーパーロボット大戦(前)
このシリーズ、番外編も含めて九十年のゲームボーイ版からこれまで五作。根強い人気の程が伺われます。バトルシステムは、攻撃ごとに全部の駒を動かすことを除けば、将棋やチェスと同じです。次に相手(コンピーター)はどう動くかを推理しながら戦略を練るのが醍醐味です。
それだけなら元祖の「ファイヤーエンブレム」以降、死ぬほどあるわけで、これの魅力は別の所にあります。
登場するロボットは、ガンダムやマジンガーZやゲッターロボといった、テレビアニメでおなじみの面々。
「なんや、キャラクター物か」とアホにせんといて。せやかて、このソフト、彼らが一堂に会するのやで。んなこと、フツーはあり得ない話です。フーテンの寅が若大将と共演するようなもんなんやから。月光仮面と少年ジェットとナショナルキッドと七色仮面の共演でもよろしい。
すごいでしょ。寅さんと若大将が、月光仮面とナショナルキッドが、会話するのに立ち会えるなんて!
残念ながら、ガンダム世代でない私には、そこに繰り広げられる、マニア落ちのようなエピソードのおもしろさは分からないけど、それらの現役世代にはおもしろいであろうことはビンビン伝わってくるのです。
第4次 スーパーロボット大戦(後)
マジンガーZの初放映が七二年、ゲッターロボが七四年。当時熱烈なファンであった子どもたちももう三〇前後。彼らは、子どもが良き消費者となった最初の世代です。
子ども相手の商売が、駄菓子屋や校門前の怪しげな当てもんといった、周辺領域で蠢くのではなく、資本主義の中心部でも成り立つようになった、アニメが、衰退しつつある映画館に客を入れ、塾が繁盛し、子ども服が自己主張を始める、子どもであることが、それだけで何よりも価値がある時代の始まり。
今や、それを体験した最初の世代が大人になり、現在の子どもたちに商品を提供している。テレビゲームシーンは正にその中心やし、このソフトはその中でも代表例でしょう。
自分たちが至福の時を過ごせたアイテムであるアニメを、再放送などで知っている今の子どもたちに、テレビゲームの中で良質に再現し提供する。しかも、当時は大型ロボットと呼ばれていたキャラクターたちを、現在の気分であるショートデフォルメにする丁寧さ(このソフトのオリジナルやないけどね)。
こうした「優しさ」の善し悪しを語る前に、こうした「優しさ」に、それ以前の世代である私たちはまず、触れてみるのも結構ええことやと思う。