シムシティ2000(前) 

パソコン市場高い評価を得、世界中でヒットしたSLG(シミュレーションゲーム)最新作のスーファミ移植版。「パソコン市場」、つまり元々大人向けに開発されたゲームですね。スーファミソフトで、典型的なSLGの殆どはパソコンからの移植。そこから必然的に浮かび上がるのは、こうした類いのゲームは、大人が好むものであろうということ。
 内容は極めてシンプル。プレイヤーが市長となり、様々な困難を乗り越え、人口を増やし、都市を大きくしていく。
 けれど、はっきり言ってそれはとても面倒な作業。工業を発展させたら公害だと文句を言われるし、福利厚生施設を立てる予算を確保するために少しだけ税金を上げたら、怒った住民は市を出て行くし、思いもかけない時に災害が起こり、これまでの苦労がパーになる。もう、ええかげんにしてくれ、市長たる私がどんだけ努力してると思ってるねん、とブツブツ言いながらのプレイ。
 ってことは、私たち大人が日頃抱え込んでいる、仕事上のイライラとかなり似てるわけ。決定的に違うのは一つ。ゲームの中での私たちは、ただの住民ではなく市長なんやね。
 それが、心地よい気晴らしになるか、マゾヒスティックな喜びになるかは、あなたしだいです。

1995/05/24


シムシティ2000(後)

 ウィル・ライト製作の「シム」シリーズは他に、「シムシティ」「シムアース」「シムアント」がスーファミで出ています。ということは、元々大人向けのはずが、子ども相手の商売も成り立っている。
 このシリーズはどこかエデュティメント(教育的かつ娯楽的。要するに、遊びながらお勉強にもなる)な要素があるので、親子両者のメリットが一致して、買ってもらい易いのが一因なのかもしれません。例えば「シムアント」だとアリの生態を、「シムアース」だと生物の進化と地球の成り立ちを、「シムシティ」だと都市計画と経営を、「子どもだまし」ではなく学ぶことができますから。
 遊びのふりして学ばせようなんてことを最初から目論んで子ども向けに作ると、そのセコい発想などすぐに見抜かれてしまうけど、このシリーズの場合、たまたまそうなっているだけだから、学ぶ気などなくて、遊んでたら結果的に学んでしまった、てなことがあるのかも。
 けど考えてみたら、「遊び」も「学び」も元来「喜び」や「充実」という同じ範疇に入っていたはずで、それが全く別の方向の作業と感じられてしまっている今がヘンなのやから、この面倒な作業を強いるゲームにハマって、遊びつつ学んでしまうことのほうが実はごっつう自然なのやね。

1995/05/31



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