たまごっち(前)
このゲームと出会ったのは去年、クリスマス商戦真っ盛りの梅田はキティランド。何やら行列ができている。その先頭は任天堂のカウンター。「おー、『マリオカート64』でついにニンテンドウ64もブレイクしたか!」と思ったけれど、「お一人様二個まで二個まででーす」と叫んでいる店員。ニンテンドウ64を二個も三個も買うやつはいないやろうし、とにかく行列の最後に並んだんやね。やっぱ、そういうときは誰でも並ぶでしょ?
手に入れたそれは、、本物の半分ほどのサイズの卵型。夏頃からはやっているミニゲーム(バスや電車の中でポケベルのようなものを背中を丸めながら凝視し、両手の親指をせわしなく動かしている若者を見かけたことがおありでしょう。あれですね)の一種であろうとは見当がつく。
帰りの地下鉄の中でそれをケースから出し、取説を読む。ナルホド。たまごっちという生物を飼うゲームか。この二センチ四方の液晶画面の中で卵の中から生まれるんやな。
ん? なんや回りの視線が熱い。ええ中年のおっさんがおもちゃで遊んでるから気色悪がってはるのやろうか。仕事がら、絵本や童話から女の子向けのティーンズ雑誌まで人前でも平気で読むので、そんな視線は結構あびてしまうし、気にしていられない。ん? それもあるけどこの感じはちょっと違う。どうやらそれは、めったに手に入らない「たまごっち」を所有している私への羨望のまなざしらしかった。
たまごっち(後)
以前ご紹介の『にゃんとワンダフル』と同じくペット飼育ゲーム。TVのモニターを使った『にゃんと』はよりリアルな方向へ向かうと述べました。
一方こっちはミニゲーム。当然のことながらペットのお姿、仕草はギリギリまでデフォルメされている。じゃ、いかにも貧弱でおもしろくないかといえば、大ヒットした限りおもしろいわけで、実際おもしろい。
原因の一つは、目が離せないこと。ゲーム開始前、内蔵時計を合わせるのやけど、たまごっちはその時間に即して行動する。朝になったら起きてお腹がへったと知らせ、夜には電気を消してくれと要求する。ほおっておくと機嫌が悪くなり、あっち向いてホイで遊んでやらなければいけない。しかもこっちが負けないと機嫌はなかなかなおらない(接待ゴルフかいな)。いつウンチをするか分からないし、それを見過ごしていると病気になってしまう。
てなことで、家では常に仕事するワープロの側に置き、外出時もポケットに入れて持ち運ぶ。打ち合わせや研究会のときも、腹へったーとピーピー言い出すので回りの人におわびしつつごはんをやる。ちゃんと世話してるかしてないかで、成長したときの姿が全然違うから、ますます尽くしてしまう。そうすると、手塩にかけて育てた、って感じが確かにしてくるのやね。
日頃「授業やテストの時はポケベル切れ!」と言っている職業の方は手を出さないほうが無難やね。