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【児童文学】
『リアル・ファッション』(ソフィア・ベネット:作 西本かおる:訳 小学館)
 これはすごい。誰でも入りやすい敷居の低い物語の中に、身近な問題から社会問題までをフラットに並べ、若い読者に見えやすく開示しています。
ハリウッドデビューしたジェニー、世界問題に関心のあるエディ、そして語り部であるノニーはファッション大好き。という三人組なのですが、ノニーにしてみれば、ハリウッドのイケメンスターも難民キャンプも、親友たちの関心事ですから同じように気に掛かるのです。と同時に、物語を動かす要素として加わるのがウガンダ難民の少女クロ。彼女はデザイナーとしての抜群の才能を持ち、それを見いだしたノニーはクロを売り出そうとします。
 もちろん荒唐無稽ですが、そのわくわく感に世界の問題をちゃんと絡ませているのがいいですね。
 しかし小学館の「SUPER!YA」シリーズは外さないなあ。九十年代の福武書店の「ベストセレクション」、00年代の理論社ソフトカバーシリーズ、そして今、小学館のこれ。

『ロス、きみを送るたび』(キース・グレイ:作 野沢佳織:訳 徳間書店)
 友だちのロスが交通事故で死んだ。ロスの葬式はなんだかぼくたちにはしっくりこない。両親はぼくたちほどロスのことをわかっちゃいなかったんだ。ぼくたちはロスの遺灰を盗み彼のための本当の儀式をしてあげる。ロスという名の町で。
 『スタンド・バイ・ミー』が死を捜す少年たちの旅だとしたら、この作品は死を携える旅。そこで明らかになっていくものの痛み。

『海辺の宝もの』(ヘレン・ブッシュ:作 鳥見真生:訳 あすなろ書房)
 海辺の貧村で暮らすメアリー。彼女の父親は「変わり石」を集め、それを売って家計の足しにしていました。「変わり石」に魅せられたメアリーは、危ないという母親の心配を他所に、父親に付いていって、知識を深めます。やがて父親が亡くなり、若い兄の収入だけで一家を支えるのは難しく、彼女は父を継いで「変わり石」を家の前で売り始めます。自分が、世界で最初の女性化石採集者であることも知らずに。
 メアリー・アニングにより採集された海竜他の貴重な化石は今、世界中の博物館にあります。
 「図鑑」がキーとなる今年の児童書出版のおかげでか、再刊されました。めでたい。

『こぶたのレーズン』(バーリント・アーグネシェ:さく ブローディ・ベラ:え うちかわかずみ:やく 偕成社)
 ハンガリーで1963年から愛され続けているTV人形劇の児童書版です。こびとのマノーのかぼちゃのお家に一緒に住むことになった、レーズン。マノーが親代わりで、レーズンを育てていくのですが、レーズンはちょっとわがままなキャラクターで、それをどうマノーが色々説得していくかは、まさに子育ての王道。
シンプルで、真っ当な展開は、クスクスと笑いながら楽しめます。
ただし、だからといって現代の作家がこの作品的な物を書いても仕方がないでしょう。やっぱり今の子どもを描かないと。

【絵本】
『でも、わすれないよベンジャミン』(エルフィ・ネイゼン:作 エリーネ・リンデンハウゼン:絵 野坂悦子:訳 講談社)
 死を描いています。ベンジャミンの生まれたばかりの弟が亡くなってから、新しい命を迎えるまでです。もちろんベンジャミンの気持ちもサポートして話は進みますが、最も傷ついている両親の立ち直りをじっと待つまなざしが、この作品の素晴らしいところです。

『カリーナのりんご チェルノブイリの森』(今関あきよし:原作 堀切リエ:文 子ども未来社)
 話題の映画をベースにした絵本。少女カリーナの住む村ホイニキはチェルノブイリの近く。あの事故のとき、何の情報も知識もなく村人は被爆しています。
 学校でもホイニキ村からきていることで他の子どもから疎ましがられるのがカリーナにはわからない。おかあさんがガンになって入院していることもチェルノブイリと関係があるらしい。
 やがてカリーナも甲状腺ガンとなり手術をします。
 淡々とした語りと映像が、その背後に横たわるものをまっすぐに明らかにしていきます。

『妹背山婦女庭訓』(橋本治:作 岡田嘉夫:絵 ポプラ社)
 江戸時代の香りたっぷりの豪華歌舞伎絵本五巻目です。演目が妹背山婦女庭訓でありますから、江戸時代から見た奈良時代を現代から見て描き、語っている塩梅になり、ただでさえ十分怪しい演目がなおのこと怪しくなり、弁士が橋本ですからそれにさらに磨きがかかり、もう素敵にクラクラです。
 近頃巷間では、愛国心だの本当の日本に戻そうだのと言って人気を博しているお方もいますが、『妹背山婦女庭訓』的世界が日本の一つの有り様でありまして、決して戦前が日本じゃないのよ。さあ、どうする? 現代日本を、この絢爛豪華阿鼻狂乱ファンタジー世界にしたいの?

『おおきなはてな』(ヴォルフ・エァルブルック:作 うえのようこ:やく 朝日学生新聞社)
 哲学や考える絵本がちょっとしたブームとなっていますが、この作品はヴォルフ・エァルブルックによる、主人公の「わたし」をめぐる様々生き物の様々な答えです。おとうとは、お誕生日をするために生まれてきたといい、ネコはのどをゴロゴロ鳴らすためという。それぞれ自分のことばかり言っているのですが、その説明を聞いていくと、自然と主人公や読者の「わたし」も様々な角度から考えられることとなります。

『もっかい!』(エミリー・グラヴェット:さく 福本友美子:やく フレーベル館)
 寝る前に本を読んでもらっている子ども。これが「あした もっかい よんであげるから」で終わるものだから、子どもももう一回読んで欲しいとねだります。繰り返す間にだんだん母親が眠たくなっていくのがいいなあ。最後に素敵な仕掛けがある絵本。そうそう親子はドラゴンなんですよ。

『なぜカツラは大きくなったのか? 髪型の歴史絵本』(キャスリーン・クルル:文 ピーター・マローン:絵 宮坂宏美:訳 あすなろ書房)
 古今東西、何故人は髪型にこだわったのか、どんな髪型が存在したのかを、軽妙なタッチで描いています。
 それだけでもう十分面白いですが、その面白さから、歴史や文化や、そして人間への興味がむくむくと沸いてくるであろうことが、素晴らしい。
 物語が苦手な子どもや、科学物が好きな子どもにぜひどうぞ。もちろん、物語好きにもね!

『いろいろいちご』(山岡ひかる くもん出版)
 山岡のおいしい「いろいろ」シリーズ最新刊。
 いちごでいろいろは難しいのではなかろうか? と心配しましたが、そんなことはありませんでした。
 いちごたちが山登りの最中にいろいろなおいしいデザートに変わっていき、そして頂上で!
 わ!
私が大好きなものになりました。

『バッタさんのきせつ』(エルンスト・クライドルフ:作 佐々木田鶴子:訳 ほるぷ出版)
 1930年作品。佐々木田鶴子がリズム感あふれる日本語に訳してくれました。左に言葉、右に絵というシンプルな画面構成で、クライドルフの水彩画の美しさとユーモアをまっすぐに見せてくれます。6月から日本(東京、福島、富山、横浜)で原画展が行われますよ。

『また あえたね』(デヴィッド・ウズラ・シュタイン:さく さかいくにゆき:やく ポプラ社)
 秋、こぐまは初めて落葉を見る。こぐまにはそれがわからないから、葉を木の枝に戻そうとするけれど、うまくいかない。
 冬眠から春の目覚めへと、こくまの時間と樹木の時間がうまく対比されながら、命の巡りを描きます。

『なみだでくずれた万里の長城』(唐亜明:文 蔡皋:絵 岩波書店)
 中国の民話を素材にしています。ひょうたんから生まれた娘は大事に育てられます。その貧村に若者がやってくる。万里の長城での過酷な労働から逃げてきたという。村人は彼を受け入れ、娘と愛し合うようになる。婚姻まもなく、役人がやってきて彼を連れ去り、再び万里の長城労働へ。娘は彼を捜しに旅立つが・・・。
 水墨をベースにした蔡皋の画の色遣いが素敵。中国物以外でももっと活かせると思いますよ。

『ぐっすりメーメさんの世界旅行』(マウリ・クンナス:作 いながきみはる:訳 猫の言葉社)
 眠りながら色んな事をしてしまう、事件をも解決してしまうメーメさんの新作です。今回は世界一周旅行が当選して、エジプトからアメリカまで巡ります。で、各地で眠ったまま事件を解決してしまう。
 本人が気づいていないところがとてもキュートですね。

『あかずきん』(那須田淳:訳 北見葉胡:絵 岩崎書店)
 那須田による、絵本版グリム童話も早や五巻目。
 定番中の定番の登場です。子どもたちにおなじみのラストとは別のエピソードも描いています。
 赤頭巾は、ペローも含めて色々ありますし、もちろん絵本もたくさん出ていますから、比べてみるのが楽しいですね。
 『赤頭巾ちゃんは森を抜けて―社会文化学からみた再話の変遷』(ジャック・ザイプス 阿吽社)を読むと、ますますおもしろい。

『キムのふしぎなかさのたび』(ホーカン・イェンソン:文 カーリン・スレーン:絵 オスターグレン晴子:訳 徳間書店)
 雨降りの日、キムはパン屋さんの外でおかあさんを待っています。そこからキムの想像が働き出し、傘の船に乗って、雨で出来た流れを下っていく。ジャンングルの川を通り過ぎ、海へ出て、どんどんどんどん楽しい冒険は続いていきます。
 お腹が減った頃、おかあさんの所に無事到着。家に帰っておいしいパンを食べましょう。
 スレーンの絵は、想像の冒険による疾走感を、とてもよく描いています。

『ぼくのきしゃポッポー』(市川里美 BL出版)
 おもちゃたちがおもちゃの汽車で旅をします。旅といっても家の中。小さなおもちゃの視点で室内を見ていくわけです。
 背の高い大人と低い子どもでは、見え方が全く違います。この作品は、子どもよりもっと小さなおもちゃの視点に寄ることで、子ども自身が感じている大人との違和感を、子どもに見えやすい形で表現しています。

『せんをたどって がっこうへいこう』(ローラ・ウンクヴィスト:さく ふしみみさお:やく 講談社)
 いいです。巧いです。
 タイトルの文字からずっと一筆書きで言葉が綴られ、それに惹かれてページを繰っていくと、自然に学校とはどんな場所か、どんな時間を過ごす所かがわかるようになっています。場面場面のブツ(机や本)は様々な素材でコラージュされていて、かなりの情報が入っていますがゴチャゴチャ感はありません。センスがいいんですね。

『としょかんねずみ』(ダニエル・カーク:さく わたなべてつた:やく 瑞雲社)
 タイトル見ただけで、絶対もう読みたくなってしまう絵本です。ねずみのサムは図書館の、それも子どもの本の棚の後ろに住んでいて、毎日本を読んでいました。読むだけでは飽きたらず自分で書き、手作りの本をそっと棚に。と、その物語を喜ぶ子どもたち。ねずみはさっそく次の物語を作ります。評判を呼んで、いったいサムってだれ? となり、この作家を招待することに。さて、困った! どうするサム?

『フウちゃん クウちゃん ロウちゃんの ふくろうがっこう さかなをとろうのまき』(いとうひろし 徳間書店)
 入学物です。
 三羽の幼いふくろうたちが、先生のお教えむなしく、色々とんちんかんであります。今作では、魚を捕る練習。でも、カッパを捕まえたり、竜を捕まえたり。困ってしまう生徒です。しかし、取られるカッパもカッパ、竜も竜。
 という愉快な展開で、今後が楽しみなシリーズ。

『身のまわりのふしぎサイエンス』(内田麻里香:監修 全三巻 岩崎書店)
 家でもできる色々な化学実験を紹介しています。というか、科学は身近な存在であることがわかるように説明しています。元素の周期表がどの巻にも書かれていて、それが身近なものとなるようになっているといった方がいいかな。

『ターニャちゃんのスカート』(洞野志保 「こどものとも 年中向き」六月号 福音館書店)
 いいです。髪型を変えたいターニャは、頭に赤いスカートを被って、それを赤いロングヘヤーに見立てて遊ぶのだ。それをうらやましがったニワトリのひなたちは・・・。
 子ども心をピタリと描きます。

『ぴたっとヤモちゃん』(石井聖岳:作 小学館)
 そうだよなあ。ヤモリってぴったとくっつく(かわいいです)。で、このヤモちゃんはヤモリの中でもくっつき好き、色んな生きものにくっついちゃいます。みんなちょっと迷惑かな? でもくっつくのだ。優しくくっつかせるネコもいい。
 はたしてヤモちゃんはくっつきくっつき、どこまで行ってしまうのでしょうか?

『ビジュアル版 生きている!? 恐竜の世界』(全六巻 ディヴィッド・ウェスト:絵 ロニー・ランドール:文 池田比佐子:訳 岩崎書店)
 全画面CGで描かれた、恐竜図鑑です。想像画は、CGより詳細に描かれたものの方が私は好きですが(子どもの頃にときめいたものですから)、今の子どもにとってはこれの方が自然でしょう。
 様々な恐竜の様々な場面が描かれていますが、その全てをCGで描く情熱はビシビシ伝わってきます。CG動画と違って、じっくり眺めるものですから、そうするとCG技術はまだまだ手技には届いていないのもよくわかります。がんばれ、CG!

『いますぐ考えよう! 未来につなぐ資源・環境エネルギー』(田中優:著 山田玲司:画全三巻 岩崎書店)
 原発事故以前から進められていた絵本ですが、事故後にそれを踏まえた記述によって刊行されました。原発から自然エネルギーへの転換を説きますが、エネルギー全般に関係する社会、政治、歴史も背景として触れられていますので広い視野から考えることが可能です。

『もりへぞろぞろ』(村田喜代子:作 近藤薫美子:絵 偕成社)
 村田喜代子の絵本。
 病気になったイノシシを助けるために動物たちは、森の奥、命の泉へと向かいます。
 自然と命の交歓を描いていますが、単にかわいく表現するのではなく、タイトルといい、近藤の絵といい、なにやらぞわぞわとした森の深く暗く強い息遣いも伝えています。

『ぶかぶか』(かどのえいこ:ぶん スギヤマカナヨ:え ポプラ社)
 子どもが親の服を次々着てみる。もちろん、ぶかぶか。というシンプルで、わかりやすく、そして「わかる、わかる」の世界が展開。
 かどのはやはり巧いなあ。

『エディのごちそうづくり』(サラ・ガーランド:さく まきふみえ:やく 福音館書店)
 『エディのやさいばたけ』に続くシリーズ二作目。
 今回はおじいちゃんの誕生日のごちそうをママや妹にリリーと作ります。とはいえ、リリーは幼いし、ママは忙しくて途中ですぐにいなくなるし、エディが作るしかないのだ。という風にして、料理の楽しさを男の子にも伝えるし、なにより、自分でやり遂げた満足感が伝わるのがいいね。

『いきているひかり』(モリー・バング&ペニー・チザム:作 さくまゆみこ:訳 評論社)
 『わたしのひかり』に続く、地球と私たちを語った絵本です。太陽の光が降り注ぐ地球。光合成をする植物。それによって支えられるあらゆる命。当たり前のことを当たり前に気づくための作品。

『ちょうつがいきいきい』(加門七海:作 勝部武宏:絵 岩崎書店)
 「怪談絵本」シリーズの一作。
 加門さん、ずるい。こんなタイトル、もうそれだけで怖いもん。子どもがきいきい鳴るちょうつがいを見ると、何か生きものが挟まっていて泣いている。お兄ちゃんに報告に行くと、お兄ちゃんの椅子もきいきい。乳母車も電車もきいきい。
 ああ、夢見そう。

『かっぱのこいのぼり』(内田麟太郎:作 山本孝:絵 岩崎書店)
 内田&山本による行事絵本の新作。
 なぜにこいのぼりとかっぱが結びついてしまうのか? と内田の展開を不思議に思いつつ、まあ、カッパの子どもの端午の節句かいなとおもいきや、そんなアハなオチは、もちろん内田は用意しておりません。爽快なラストに納得。

『ゆうれいのまち』(恒川光太郎:作 大畑いくの:絵 岩崎書店)
 「怪談絵本」シリーズの一作。
 友だちとゆうれいを探しに、夜中に家を出て森へ。もうそうなると、なんでもかんでもがゆうれいに思えてしまう怖さ。そして、現れたのは?

『アメリカ民謡 まきばの のうふ』(イルセ・プルーム:え わたなべてつた:やく 福音館書店)
 日本でもよく知られているフォークソングの歌詞に沿って、絵本に仕立てています。
 絵にすることで、昔の農家の暮らしが再現されると同時に、フォークソング特有のユーモアや不思議も画面に練り込まれて楽しいできです。

『こどもの行事 しぜんと生活 5月のまき』(かこさとし 小峰書店)
 5月がでました。といっても節句がすぎてから紹介して、どうするねんって話もありますが。
 読んでいると5月の季節感が味わえますが、近頃の気象異常を考えると、「あ〜こんな時代もあったんあ〜」って感じてしまいます。
 あと7巻。がんばってください。

『ふくしまから きた子』(松本猛・松本春野:作 松本春野:絵 岩崎書店)
 福島から広島へ疎開してきた女の子と、地元の男の子の交流を通して、「ほうしゃのう」へと考えを巡らす絵本です。
 松本春野の絵は、穏やかな画風でありながら一瞬の捉え方に勢いがあり、これを活かした作品を今後生み出していってほしいものです。

『あかいじどうしゃ よんまるさん』(堀川真:さく 福音館)
 トヨタ ランドクルーザー40への愛を込めた絵本。
 農家の若い夫婦はよんまるさんを大好きで、ちまたの新車に目もくれず。無骨だけれど、力強いランクル40。でも、子どもを授かり、チャイルドシートが必要でやむなく新しい車を買います。
 落ち込んだよんまるさん。やがて売られて、どうなってしまうのか。
幸せな結末をごらんあれ。

『いっしょだよ』(小寺卓矢:写真・絵 アリス館)
 『森のいのち』の子だら、新作写真絵本。
 様々な森の植物が、まるで寄り添うように共生している様を色んなアングル、色んな日差しの中で、次々と見せていきます。

『のぞいてみたら』(ささきみお 講談社)
 女の子が裏山で穴を発見! 一番下の穴を覗くと古生代らしき風景。その上の穴(上の地層ね)を覗くと次の時代が。と段々上っていくと、やがて自分が生まれた風景に出くわしていきます。地球の歴史から自分史までがつながっているよという、ある意味でわかりやすい環境絵本。

『もぐらくんとみどりのほし』(ハナ・ドスコチロヴァー:作 ズデネック・ミレル:絵 木村有子:訳 偕成社)
 チェコの長期人気アニメ&絵本キャラクターのもぐらくんシリーズ。
春が来て、うさぎさんをご招待しようとお掃除をしていたら、とてもきれいな緑の石を発見! せっかくだからお空に飾ろうとしますが、なかなか難しい・・・。
素朴な話にけっこう心打たれます。

『ようちえんいやや』(長谷川義史 童心社)
 あの子もこの子も、ようちえんがなんでいやかを述べております。うん。いちいちもっともであります。
 それでええんです。

『しょうがっこうへいこう』(斉藤洋:作 田中六大:絵 講談社)
 小学校入学。ドキドキ。
 小学校はどんなところかを具体的に描いていきます。絵本のあちこちにゲームがあって、それを楽しんでいる内に、小学校になじんでしまうのです。

『ちこく姫』(よしながこうたく 長崎出版)
 「わんぱく小学校」シリーズ最新作。発表会のための会議に二組のまどかが遅刻。怒った一組女番長のちよこ。お姫さまをやるのが夢だったまどかの願いは聞き入れられません。
そこで、まどかは一大決心をし、あることを始めます。
熱い、いや暑いノリは今作でも持続していますよ。

『さんすううちゅじん あらわる!』(かわばたひろと:作 高畠那生:絵 講談社)
 うちゅうじんが教室にやってきて、さんすうを解くことに地球の運命がかかっているといいます。一見算数と関係がなさそうなサッカーや音楽もさんすうとかかわつ事を示していく絵本。あらゆる形状、運動は、数学で現すことができる訳なので、そうした角度からさんすうへの興味をかきたてようという戦略です。この発想は正解ですが、少し言葉に頼りすぎています。川端の言葉を高畠の絵にもっと落とし込んでも良かったのでは?

『くもくも ぱんやさん』(やまうちゆうこ:ぶん いのうえふみこ:え 岩崎書店)
 雲の上でパン屋さんをしている蜘蛛さんです。雷さんの子どもも欲しがりますが、どうして届けましょうか?

【その他】
『学校図書館のつかい方』(全二巻 赤木かん子 光村図書)
 学校司書の便利マニュアルです。赤木らしく、具体的かつ実践的な方法が豊富な写真とイラストで示されていきます。


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