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【児童書】
『いつも いつまでも いっしょに! ポレケのしゃかりき思春期』(フース・コイヤー:作 野坂悦子:訳 福音館書店)
 オランダの物語です。ポレケは母親と住んでいます。母親と別れた父親は詩人になろうとし、しかし、詩が書けない夢想の人物。父親が好きなポレケは詩も大好きで、よく作ります。と書いても、この物語のおもしろさは伝わらないでしょう。
ここに描かれているのは、90年代以降の児童書で露わになってきた大人と子どもの関係の変化です。子どもは大人たちをよく観察しており、その弱さも知っています。しかし、だからといって、大人を軽蔑するわけではなく、自分たちの成長の先にいる人と見ています。
その上で、改めて大人と子どもが共に生きていくための関係のあり方を描いているのです。

『ハンナの学校』(グロリア・ウィーラン:作 中家多恵子:訳 スギヤマカナヨ:絵 文研出版)
 時代は十九世紀末。目の見えないハンナは学校に行かず家の手伝いをしていました。ママが心配して家を出したくなかったのです。新任のロビン先生が下宿することになり、ハンナの就学を強く勧めます。しぶるママを説得してハンナは学校へ出かけますが・・・。ハンディキャップを克服して行くには周りの理解も必要である、今も変わらぬ真実が語られています。

『発電所のねむるまち』(マイケル・モーパーゴ:作 ピーター・ベイリー:絵 杉田七重:訳 あかね書房)
 マイケルは故郷に帰ってみようと思った。でも、ためらいもある。そこはかつて大好きな場所であり、大好きは人も住んでいた。しかし、あるとき原発建設の話が持ち上がる。最初は反対していた住民も次々賛成に回り、マイケルの母親と建設場所に住むタイ人の女性だけになった・・・。半世紀ぶりに訪れた町はすっかりその面立ちを変え、原発は廃炉となり、その安全確保にこれから長い時間が費やされることになる。当時の人々はもうほとんど残っておらず、残った人々は、何故あのとき賛成に回ってしまったかを考えている。
 原発は、何百年先に未来までを決めてしまうことが、染みるように伝わってくる。

『おいべっさん』(竹内紘子 解放出版社)
 「おいべっさん」とは、人形まわしが扱うえべっさんの人形。人形まわしは、祝祭に家々を回り人形で言祝いだりする人々ですが、彼等は、いわれのない差別を受けている人々でもある。この物語は、人形まわしの夫婦の出産に立ち会った主人公の目を通して、命の不思議と、尊さを描き、そして、いわれなき差別への思考を促そうとしています。

【絵本】
『はんなちゃんが めをさましたら』(酒井駒子 偕成社)
 小さなはんなちゃんが夜中の目覚めてしまいます。両親もおねえちゃんもまだ眠っている。
 はんなちゃんはトイレに行ってから、ネコと一緒に夜を過ごします。
 何事が起こるわけでもないけれど、静かに奥深い時間。
 おそらく酒井にとって重要な一人の時間、空間、その密度をはんなちゃんと通して見つめ、描く、傑作。

『ジブリルのくるま』(市川里美 BL出版)
 砂漠の村の少年ジブリルは車が大好き。空き缶や古いサンダルなどを使って車の模型を作っています。お父さんから、そんな無駄な物は捨ててしまえと言われたジブリルは、世話をしているらくだを連れて、市場まで出かけますが・・・。
 子どもの大切な遊びが、生活とちゃんと結びついているところがなんだかうらやましい。

『よいこと わるいこと』(オスカー・ブルニフィエ:文 ジャック・デプレ:イラスト 藤田尊潮:訳 世界文化社)
 「はじめての哲学」シリーズです。今回は、悪いについて。このシリーズは決して、決めつけません。答えも出しません。こういう考え方もある。いや反対の考え方もあると、様々な見方を提示するだけです。そうして、子どもたちの自由な思考を育みます。ジャック・デプレの立体造形を使った写真がいいですよ。

『風をつかまえたウィリアム』(ウィリアム・カムクワンバ・ブライアン・ミーラー:文 エリザベス・ズーノン:絵 さくまゆみこ:訳 さ・え・ら書房)
 実話です。アフリカの貧しい国、日照りが続き収穫もないため少年ウィリアムは、学校へも行けません。でも図書館で彼は、風車によって発電と、地下水をくみ上げることができるのを学びます。がらくたを集め、ついに風車発電に成功するウィリアム。
 好奇心と、知識の吸収と、ガッツと、工夫によって、一歩ずつ進む喜びが描かれます。
 『風をつかまえた少年』(文藝春秋)も出ています。

『ピーターラビット もうひとつのおはなし』(エマ・トンプソン:文 エレノア・テイラー:絵 三辺律子:訳 集英社)
 ピーターラビットの公式新作です。
 なんだか退屈きわまりなく、冒険がしたいピーターは、畑に忍び込んでレタスをいただこうとしますが、それよりおいしそうなサンドイッチが入ったバスケットを見つけ、そこに飛び込みます。と、そのバスケットごと運ばれて、やってきたのはスコットランド。ここのウサギさんはスコットランドの民族衣装を着ていますよ。
 ピーターが出会った冒険は?
 エマ・トンプソンらしい元気さや物語展開のリズムの良さは、本家とはやはり違いますが、百十年後のピーターならきっと、こんな感じなのでしょうね。

『わたしはガリレオ』(ボニー・クリステンセン:作 渋谷弘子:訳 さ・え・ら書房)
 ガリレオの伝記絵本です。この作品がおもしろいのは、それを晩年、幽閉生活を送っているガリレオが語る形式をとっていること。すでに彼の目は見えていません。子どもの頃に読む伝記の多くは、その業績に焦点があてられますが、その先の現実も踏まえているので、「偉人」ガリレオが身近に感じられるのです。

『英雄オデュッセウス』(ジャン=コーム・ノゲス:文 ジャック・ギエ:絵 村松定史:訳 小峰書店)
 神話、伝説、古典を様々にリライトし、優れた挿絵と共に贈るシリーズ、今作はオデュッセウス伝説。これはもう、波瀾万丈冒険満載ですので、やはり文章が中心で挿絵は控えめですが、まるで影絵のように描くことで、くっきりと印象を残します。ほんとうにこのシリーズは出来がいい。

『クロテン』(竹田津実:文・写真 アリス館)
 竹田津の集大成となるのであろう「北国からの動物記」最新刊。家の軒先にやってきたタヌキが病気をしていたので、餌に薬を混ぜて治療をするところから始まって。クロテンとの出会い、巣に設置、彼等の様子などが物語のように展開していきます。楽しい写真も一杯です。

『ポンテとペッキと おおきなプリン』(仁科幸子 文渓社)
 子ネズミポンテとペッキが森で見つけたのは大きなプリン。食べちゃおうか、いやそれは・・・。バッタさんは気にせず食べるし、もう大変。やっと誰のかわかったけれど、かじった跡があるし、どうしましょう? 子どものドキドキ感と、その後に訪れる安心感を描きます。

『とくん とくん』(片山令子:文 片山健:絵 福音館書店)
 取り壊された水族館でかなこが出会った少年。ひすい湖に行きたいというので、かなこは電車賃を出して一緒に出かけます。「とくん とくん」とは、命の音。「とくん とくん」はつながりの音。一九九七年「大きなポケット」発表作品の単行本化ですが、今の方が切実に響くでしょう。

『ボクがつくった世界のおやつをどうぞ!』(平野恵理子 偕成社)
 おやつをから異文化に親しもうという絵本です。おやつですから、誘惑度が高いので、惹きつけられますなあ。知らないおやつも一杯。メキシコのグアモーレ作りたい。そうか、あの大きな種を残して置いて、できあがったものに入れると色が変化しないのか。知らなかった。
 男の子が作っているのもいいですね。

『きいて きいて』(たかぎ ちず:さく・え 長崎出版)
 教えて欲しいことと聞いて欲しいことにあふれている、そんな時期の子どものお話です。でも、お父さんは忙しい。ちっとも話を聞いてくれない・・・。親は疲れていたりするけれど、大人とは違う思考なども与えてくれるので、できるだけ聞きたいですね。父親の子育て視線も入っていますよ。

『なんていいんだ ぼくのせかい』(荒井良二 集英社)
 生まれてきた命が、自己と世界を肯定する過程を荒井の絵力によって描いていきます。細かな説明があるわけではなく、キャラクラーの姿も考え抜かれていて、絵で伝えていきます。言葉はあくまで絵を補填する組み合わせです。
とはいえ、この自己と世界の肯定の抽象度が、どこの誰に向けられているのかは?です。こうした大きな話を描こうとする欲望は絵本の欲望なのだろうか?

『インカの村に生きる』(関根吉晴 ほるぷ社)
 ペルーの山奥で昔のままの暮らしを続けるケロ村の日々を関根が伝える写真絵本。そうか、リャマやアルパカはおとなしいので、子どもたちが放牧の世話をしているのか。こういう小さな知識が手に入るのが、フィールドワーク写真絵本の良さだなあ。 

『いつか帰りたい ぼくのふるさと』(大塚敦子:写真・文 小学館)
 福島の原発事故で現地に取り残されたままのペットたちが、飼い主不明のまま世話をされています。大塚が引き取った一匹の猫。年齢が高くネコエイズにも感染しているので、おそらく誰も引き取らないだろうと思って飼い始めます。ところがなんと元の飼い主が見つかりました! そうした過程と原発事故を写真に納め、一冊の絵本となりました。

『こねこのハリー』(メアリー・チャルマーズ:さく おびか ゆうこ:やく 福音館書店)
 文庫サイズの小さな絵本。こねこの日々が描かれるシリーズです。もちろんそれは、子どもに親しい動物に子どもをトレースすることで生まれる効果を使って描いているわけなのですが、このシリーズは、何故ねこなのか? をさほど意識せずに(または、意識を隠して)描かれていますので、子どもがねこ化したようなふしぎな感覚に襲われます。と同時に、動物にトレースすることの意味がはっきりとそこに浮かび上がります。

『新世界へ』(あべ弘士 偕成社)
 昨年、北極を旅したあべが、そこから得たインスピレーションで描いた絵本。カオジロガンたちの渡りを力強く描いています。感動を想像に変えて、そこから創造しているのであべの気持ちが良く伝わってきます。輪郭線と色彩がせめぎ合う画風から少し変化しています。色合い全体が落ち着いているのは北極のそれ故でしょうけれど、今後のあべの色に影響を与えるかもしれません。

『ともだち できたよ』(内田麟太郎:文 こみね ゆら:絵 文研出版)
 子どもの気持ちに寄り添う内田には、ともだち物が多いですが、この絵本もその一つです。ともだちがいないうさぎに、ともだちになろうと届いた手紙。でも差し出し人が「っぱ」ではわからない。変に甘い話ではなく現実もちゃんと踏まえて、最後はほんわかと幸せ。

『いつもみていた』(ジャネット・ウィンター:作 まえざわあきえ:訳 福音館書店)
 チンパンジー研究を大きく進展させたジェーン・グドールの伝記的絵本。その進展はギドール自身がチンパンジーの群れの中に入って、それこそチンパンジーから教えてもらった情報からもたらされた点が重要です。

『どうぶつきかんしゃ しゅっぱつしんこう!』(ナオミ・ケフォード&リン・ムーア:ぶん ベンジー・ディヴィス:え ふしみみさお:やく ポプラ社)
 ぼくはママと一緒にお出かけ。今日は特別な一日だからね。二人で歩く途中で、色んな動物がやってきます。フラップを使った仕掛けで、隠れた動物が現れる。どんどんどんどん増えた先に、幸せな結末。

『クリスマスものがたり』(パメラ・ドルトン:絵 藤本朝巳:文 リトルベル)
 イエスの生誕から、ヘロデ王が亡くなりナザレへ戻るまでを語ったクリスマス絵本。繊細な切り絵を組み合わせたパメラ・ドルトンの絵が美しいですね。

『へんてこサーカス』(フィリケえつこ ほるぷ社)
 モノトーンの中で展開する様々なだまし絵やクラインの壺的なふしぎ図などが、サーカスという見立てをすることで、より楽しくスリリングに展開しています。
じ〜っと眺めて、頭クラクラと異空間を楽しみましょうよ。
フランスでEtsuko Watanabe名によって絵本を出されているとのことなので、amazon.frを覗くと、カラフルな作品もあります。幅が広そうな作家です。『へんてこサーカス』日本版出版を機にぜひ日本でも仕事をしていただきたいです。

『ねむれないこのくに』(小竹守道子:作 西片拓史:絵 岩崎書店)
 眠れない子どもはたくさんいます。というか、眠れなくなったとき、子どもはとても不安です。そんな子どもが入り込む楽しい場所の物語です。そこは眠れない子どもたちが集まる所! って発想がいいですね。ただし、そこが閉じられた安全な空間になっているところがちょっと惜しい。夢ですからもっとはじけてもいいですよ。

『冒険! 発見! 大迷路 時空列車クロノス』(原裕朗&バースデイ ポプラ社)
 大迷路シリーズ最新作。もうネタはないだろうと思ったら、時空に来ましたか。ははは、楽しいな。江戸から、恐竜時代から宇宙世界まで、なんでもありでガンガンと迷路を作るのです。パワーありますねえ。

『ごじょうしゃ ありがとうございます』(シゲリ カツヒコ:作 ポプラ社)
 バスを終点まで乗り過ごしてしまった少年。あわてて戻りのバスに乗り込みますが、これがとんでもなく素敵なバスで、海中から宇宙まで誘ってくれます。ノスタルジックなバスや登場人物が、ふしぎ感を増大。

『おなかいっぱい、しあわせいっぱい』(レイチェル・イザドーラ:作・絵 小宮山みのり:訳 徳間書店)
 まあ、なんておいしそうなタイトルでしょうか。お店の外から厨房まで、「ぼく」がおじいちゃんと一緒に、中華のおいしさを伝えてくれます。様々な模様の紙を切り貼りしたコラージュ画がいい味をだしていて、うん、湯気が立っていますよ。いかん。これを読んだ後レストランにでかけると食べ過ぎる。

『パパとわたし』(マリア・ウェレニケ:作 宇野和美:訳 光村教育図書)
 ここには大きなドラマも、熱い言葉もありません。ただただ、父と娘、互いの心の接点や、すれ違い、重なり合いが、静かに描かれていきます。そしてそれこそが、大切なつながりであることが伝わってきます。感動のインフレは存在せず、一つの真実だけがあります。画もそれを過不足なく描き切っています。光村教育図書は、本当にいい絵本を次々出すなあ。

『クリスマス くろくま』(たかいよしかず:さく・え くもん出版)
 単色で攻めるくろくまくんシリーズが、ついに禁を破って(笑)、複数色で発売! といっても、クリスマス絵本ですからね。そうなります。作者も「クリスマスですから、クリスマスですから」とおっしゃっていました。くろくまくんと、ご一緒にクリスマスをお楽しみあれ。

『するする すとーん』(新井洋行 ほるぷ出版)
 縦開きの絵本で、上にページを繰っていくと、風船を捕まえようとして崖から落ちてしまった子グマさんが、どうなっていくかを描いています。
 言葉は擬音のみの音絵本シリーズですが、擬音の威力ってすごいので、子どもと一緒に、ここに書かれている以外の擬音を考えながら読んでもいいですね。

『おたんじょうび、おことわり?』(ボニー・ベッカー:ぶん テイディ・マウドナルド・デントン:え 横山和江:やく 岩崎書店)
 クマとネズミが繰りひろげる、おとこわりシリーズ三作目。クマの誕生日が近づいたのでお祝いをしようとやってきたネズミ。でもクマは、お誕生日もきらいだし、プレゼントもいらないし、パーティもしたくないと、いつものようにおことわり。でも、ネズミが色々アプローチしたおかげで、ようやくクマもおたんじょうびを受け入れます。
 大きなクマの方が小さなネズミより幼児的なのが、子供心をくすぐりますね。

『サッカーがだいすき!』(マリベス・ボルツ:さく ローレン・カスティロ:え MON:やく 岩崎書店)
 シエラはサッカーが得意な女の子。空き地じゃなく、ちゃんと芝のあるグラウンドでのゲームは最高! でもここだと、大好きなおばさんの仕事場からは遠すぎて見に来られない。それがとっても悲しい。決勝戦、休暇の許可をもらったおばさんが見に来てくれることに!
 でも、雨で試合は中止・・・。落ち込むシエラが考えたことは?
 気持ちを伝えることの気持ちよさ。人を信頼することの気持ちよさが伝わってきます。

『ぴったりのクリスマス』(バーディ・ブラック:作 ロザリンド・ビアードショー:絵 たなかあきこ:訳 小学館)
 王様はお姫様へマントを贈ろうと、大きな赤い布を買って帰ります。端切れが捨てられ、それを使って料理番が母親の服を作る。端切れ捨てられ、アナグマがそれでとうさんの帽子を作る・・・。という、とても暖かな連鎖物です。このお話自体がクリスマスの贈り物ですね。

『おにいちゃんの歌は、せかいいち!』(ウルフ・ニルソン:文 エヴァ・エリクソン:絵 菱木晃子:訳 あすなろ書房)
 おにいちゃん物です。でもちょっと違います。おにいちゃんは弟に優しく、弟はおにいちゃんが大好き。おにいちゃんは学芸会でモグラになり、舞台で最後の台詞を言うことに、でも自信がない。そんなおにいちゃんを弟は・・・。仲がいいっていいなあ、と思わせる一品。エリクソンの表情豊かな絵が印象的ですよ。

『どん』(坪内稔典:文 元永定正:絵 中辻悦子:構成 「こどものとも」十二月号 福音館書店)
 元永の遺作を中辻が出版にまでこぎ着けました。
 ここで、元永は色を重ねていくことで生まれる効果を色々示しています。それは気づきであり、発見であり、絵のリズムの楽しさを伝えます。いいわあ。

『バナナン ばあば』(林 木林:作 西村敏雄:絵 佼成出版社)
 バナナ3姉妹は、引っ付いているので、いつも一緒。仲が良ければいいけれど、そうじゃないときもあるよね。とうとう3姉妹は離れてしまい、喜んで好きなことをするのですが。離れてしまったても、仲良しはいいな、ですね。

『おばけのおうち いりませんか?』(せき ゆうこ HP研究所)
 お化けたちが住んでいるお屋敷が、ネズミや狸に荒らされてボロボロ。そこでお化けたちは、家を売ることにします。そのためにお屋敷を見かけだけきれいにし、お客さんを迎えるのですが、果たしてうまくいくのか? しっかりと立てられたキャラクター画が強みですね。

『南極のさかな図鑑』(岩見哲夫:文 廣野研一:絵 「たくさんのふしぎ」十二月号 福音館書店)
 今年度から数々の図鑑がリリースされていますが、こちらは詳しく楽しい仕上がり。南極辺りの魚たちの興味深い特徴が描かれています。ヘモグロビンのない血液を持つ魚とかね。なじみの魚と同じ種でもやっぱりちょっと違う。そこに好奇心が育ちます。しかし、おいしそうだ。

『ただのしろいふうとう』(殿内真帆 「こどものとも」十二月号 福音館書店)
 『とけいのあおくん』で素晴らしい仕事をした殿内が、今作でも魅せてくれます。白い封筒は、手紙を入れられ、ポストの中へ。するとそこには色んな色や形の封筒たちが。落ち込む封筒。パスとから郵便局の車へ。そこにはもっともっと色んな封筒が。でもね、白い封筒に中には、大切な心が入っていますよ。今作も色使いが素敵だなあ。

『どっちがへん? スペシャル』(いわいとしお 紀伊國屋書店)
 『100かいだてのいえ』で楽しませてくれたいわいの最新作です。見開き左右で少しだけ違う絵を並べて、比べる趣向です。違いはシンプルですので、一人で読むより、親子で笑いながら眺めるタイプですね。親子の会話を楽しみましょう。

『つるちゃんとクネクネの やまのぼり』(きもと ももこ ぶんけい)
 アザラシのつるちゃんが迷子のナメクジ、クネクネを故郷に帰してあげるお話です。
 という、発想が、すごいですね。こういう跳び方、好きですよ。
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