徳間のゴホン
第17回「マウスかラットで大違い」


ロックフォール団のねずみたち
(サンディ・クリフォード:作 本間裕子:訳)
ゆかいなやねうらネズミと小さなとちの実
(エセル・ポチョッキ:作 デヴィッド・キャットロウ:絵 多賀京子:訳)
せかいいちのあかちゃん
(ケヴィン・ヘンクス:作・絵 小風さち:訳)

           
         
         
         
         
         
         
    
 実は今、『レッドウォール伝説―勇者の剣』の続編、『モスフラワー(仮題)』の編集をしています。シリーズ第一作の『勇者の剣』は、おかげさまで、刊行以来小学生から大人まで多くの方に読んでいただきました。続編はまだかという愛読者カードも、お電話も多数いただいています。早く続きが読みたい!と、心待ちにしてくださっている皆さま、申し訳ございませんが、もう少々お待ちください。秋までにはなんとか出版したいと、現在ねじりはちまきでがんばっているところです。前作よりもぶあつくて、登場人物も多彩、おもしろさも抜群です。それ故、翻訳にも編集にも時問が大幅にかかってしまっているのですが、もう少し目鼻がついて、詳しい刊行月が決定しましたら、またこの子どもの本だよりの紙上にてお知らせいたします。
 さて、この『モスフラワー』の主人公も、前作と同様、勇者ネズミです。そういえばネズミって、海外の児童文学には主人公としてたくさん登場しますね。なぜ海外では子どもの本の主人公になるの?日本では害獣としてかなり嫌われ者なのに…。と不思議に思われた方も多いのではないでしょうか。
英語では、ハツカネズミとドブネズミは、全く違う生き物と思われているらしく、名前も マウスとラット。全く異なった単語です。そして、マウスは善良でかわいい主人公役、ラットは残虐非道で卑劣な悪役です。『勇者の剣』の主人公マサイアスはマウスで悪役クルー二ーはもちろんラット(興味のある向きは、大きめの英和辞典で MOUSE と RAT の項をひいてみてください)。
 一方日本語では、ハツカとドブという言葉がついている違いはあれど、ネズミはネズミです。ですから、児童文学の主人公で、日本語で「ネズミ」と訳されているのは、いつも「マウス」、ハツカネズミなのです。
 というわけで、徳間の本でネズミの出てくるお話をちょっとひろいだしてみました。(米田佳世子)

『ロツクフォール団のねずみたち』三匹のネズミが大活躍!
『ゆかいなやねうらネズミと小さなとちの実』屋根裏に住むネズミ一家の大騒動。
『せかいいちのあかちゃん』弟が生まれて焼き餅をやくおねえちゃんを、ネズミを擬人化して描いた絵本。
ネズミが主人公のお話はたくさんありますが、一度作家や国による「ネズミ像」をくらべっこしながら本を読んでみたら面白いかもしれませんね。
徳間書店子どもの本だより2001.03/04
テキストファイル化富田真珠子