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「トッカビ」って聞いたことあるかな? おばけのトッカビといえば、お隣の朝鮮半島ではだれもが知っているなじみの深いおばけです。 雨のふる日や、きりのたつ日に、ぼうっと空が明るくなって、ふいに火の玉が燃えだすと、それがトッカビなのです。昼間は暗い所にかくれているが、夜ともなれば群をなしては、我が物顔にうたい、おどりまくります。金さん以外の名前は知らなくて、にわとりの鳴き声が大嫌いで「コケコッコ!」とまねなどしようものなら、いちもくさんに退散してしまう。ちょっと気弱でかわいいおばけです。そして時にはだまされてしまうドジで、お人好し? でもあります。 このユーモラスなトッカビのほか、十二のお話で構成されているこの本は、ほとんど動物民話で、青ガエルがどうして梅雨に鳴くのか、トラの背中の黒いしまができたのはなぜか? とてもユーモラスな発想で書かれています。 まるで、落語のおちの部分と同じで思わずひとりで「クスッ」と笑ってしまうとても楽しい内容です。どれ一つをとっても、日本の昔話に共通するものであったりして、改めて日本と朝鮮半島との深いかかわりを感じさせてくれるのではないでしょうか。
(セ)=静岡こどもの本を読む会
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