おばあちゃんのすてきなおくりもの

カーラ・スティーブンズ・作
掛川恭子・訳・イブ・ライス・絵 のら書房

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 ひとり暮らしのハタネズミのおばあちゃんは、たいへんお年寄りで、寝ていることが多いのですが、物知りでやさしくそしてお話がとても上手でした。
 モグラ、トガリネズミ、ハツカネズミの三人は、雪の寒い日、まきを運んで部屋を暖めあたたかいスープを届けます。
 三人はパッチワークでふとんを作って誕生祝いをします。
 そしておばあちゃんのむかし話を聞くのが大好きでした。相談ごとも、むかし話が解決してくれるのでした。
 ある朝おばあちゃんは冷たくなっていました。でも生きている時、聞かせてもらったお話のプレゼントは、三人の心にいつまでも残ることでしょう。
 とてもやさしい言葉を使った短いお話ですが、読み終わってみると、いろいろなことを考えさせられます。
 訳者のあとがきにあるように、一人で生きていくのはさびしいよ。みんなでいっしょにやっていこうよ。
 自分がよろこぶのもいいけど、だれかをよろこばせるのは、もっとうれしいよ。
 どうしてかなって、相手の気持ちを考えてごらん。
 そういういろいろなことのなかで死ぬということは、どういうことなのか。
 このお話は、年をとればだれでも死ぬということを、言葉に出していいながら、恐ろしさや、冷たさがなく、逆に歌声が温かく包んでくれています。
 お説教めいたところが何もないのに、老いと死、友情と愛の尊さをやさしく読者に語りかけています。
 
(安)=静岡子どもの本を読む会
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