おまる


ジャン・クラヴリイ:絵 ミッシェル・ニクリイ:文
末松 氷海子:訳

           
         
         
         
         
         
         
    
    

 この絵本は、初めて「おまる」を使う子どもたちの様子が描かれています。
 献辞に「この本を書くきっかけになったヴィル・ルパンスの子どもたちへ」とあるのを見ると、保育園の集団生活の子どもたちを取材したのでしょうか。子どもたちのさまざまな動作を写生したデッサンが、そのまま使われているようです。
 オムツがいやになったら、ズボンを脱いで「おまる」に座って力いっぱいウーン! 上手に出ればすっきりだけど、なかなか出ないと大変。眠くなったり、かんしゃくを起こしたり。果ては砂やお水を入れて遊んだり、太鼓がわりにたたいたり。退屈して遊び始めてしまう子どもたちの姿がよく描かれています。
 最後は大人のまねをして、思い思いの形で「おまる」に腰掛け、本を読む子どもたちに、思わず笑いを誘われます。
 「おまる」と格闘しながら、排せつが独り立ちし、精神的に成長する子どもたちの姿を生き生きと描き出しています。
 幼児向け。西村書店。1339円。
 
(や)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化山本京子