オズの魔法使い

L・F・バウム:作
渡辺茂男:訳 W・W・デンスロウ:画 福音館書店

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 小さな女の子ドロシーは、竜巻のために、犬のトトと家ごとカンザスから、不思議なオズの国へ運ばれてしまいます。悪い魔女やいい魔女、魔法使いなどがいる奇妙な国で、ドロシーの胸おどる冒険が始まります。脳みそがほしいカカシと、心臓がほしいブリキのきこり、勇気がほしいライオンの楽しい仲間と一緒に、オズの魔法使いにカンザスへ帰る方法を教えてもらいに行くのです。マンチキンの国からエメラルドの都へ。オズの魔法使いに出会ってからも冒険は続きます。読み出したらもう止まりません。
 アメリカで生まれた、このユーモアあふれるファンタジーは、長い間、世界中の子どもたちが愛読し「おもしろい」と証明してくれている児童文学の古典の中の一冊です。ところが、今まで私たちの国では、この作品がオリジナルな形で出版されたことがありませんでした。今やっとワクワクする物語をすばらしい名訳の文章とともに、すぐれたさし絵と口絵が競い合うように楽しませてくれる本が、登場してくれました。
 おとなの方たちの中には、「オーバー・ザ・レインボー」の主題歌で知られる映画で、この物語と出合っている方が多いかもしれません。どうぞおとなの方も子どもと一緒に読んで、本物のすばらしい楽しさを、満喫してみて下さい。
(弥)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化上久保一志