ごめんなさいフォリオさん

J.ファルタード:作 F.ジョー:絵
とりごえしん:訳 ブックローン出版

           
         
         
         
         
         
         
    
    

 ある寒い雪の降る日に、男の子はお母さんとこども図書館に来ました。そして、とってもとってもすてきな本を見つけ、借りて行きます。
「ごめんなさい、フォリオさん」―――何を謝っているかと思えば、その本をなかなか返せなくて、図書館の職員(司書)のフォリオさんに謝っているのです。
 その「言い訳」が、何ページも続きます。一月にはおじいちゃんの家に忘れ、五月にはダチョウが本を飲み込んで吐き出してくれない。九月にはショベルカーが本を埋め、十一月には本が臭いドブ川に落ちてしまう……。
 次から次へと浮かぶ言い訳に、思わずほおの筋肉が緩んでしまいます。そして、一年たった十二月。本の行方はいかに……。
 本は、繰り返し繰り返し何度も読むたび、読んでもらうたびに味わい深く、手放せなくなります。男の子の借りて行った本も、きっとそういう「すてきな本」だったんですね。
 図書館には、そんな「すてきな本」がたくさんあります。あなたの「すてきな本」を、見つけてみたらいかがでしょう。
 四コマ漫画調の、色鮮やかな絵。フォリオさんの表情、男の子の言い訳。どうやら、この本も、そういう「すてきな本」の一冊になりそうです。幼児から。
(由)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化天川佳代子