剣と絵筆

バーバラ・レオニ・ピカード:作
平野ふみ子:訳 すぐ書房

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 14世紀、イギリス貴族の五男として主人公のスティーブンは生まれましたが、幼い時に母親と死に別れます。当時のイギリスは、日本の武家社会と同時に戦乱の世の中でした。貴族は武勇が尊ばれ、騎士として生きることが当然視されていました。
 スティーブンは内気で感受性が強く、人と争うことの嫌いな性格でした。犬を病的にこわがるので、大勢いる異母兄弟や、いとこたちにいじめられ、軽蔑されて自分自身も臆病者だと思い込んでいました。
 抜き差しならずに飼い始めた子犬はスティーブンを信じ、慕ってくるため、愛することを身につけます。
 彼の性格を見た父親は騎士になるよりも、と僧院にいれます。そこで美しい絵画に出合い、才能を発揮しますが、当時の価値基準にとらわれていた彼は僧院を脱走し、騎士になるため、変化に富んだ生活を始めます。
 歴史の流れの中で、主人公は自分の性格に合った生き方を自覚します。
 (亮)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化富田真珠子