子どもの本の森(12)

地球の環境、足元から考えたい

           
         
         
         
         
         
         
    
    

 「南極大陸上空に観測史上最大のオゾンホールが出来ています」と、ここ数年、毎年九月末ごろになると報道されます。今年は南極大陸がすっぽり入るほどの大きさの穴になっているということでした。それは大変だ。北極の方にも穴があいているのではないかと心配していました。北極の方のオゾンの量もかなり減ってはいるが、地形の影響があるのか大きな穴はないという報道が出て、少しばかりホッとしました。
 しかし、オゾンホールの原因となったフロンガスは地上で大気中に放出されてから百年以上も形を変えず大気中にあるものもあるといいますから、すでに大気中に出てしまっているフロンだけでも、何年も何年もオゾンを減らし続けるということになります。

 二年ほど前にオーストラリアとニュージーランドを旅行しましたが、その時現地の女性が環境に大変気を配っているのに感心したものでした。
 日焼け止め化粧水を顔や手に水をかけるかのようにビシャビシャとたっぷりつけて、つば広の帽子をかぶって外出していました。これはオゾンが減少すると皮膚がんができやすいといわれており、特に白い皮膚の人が影響を受けるといいます。それに対応するためのようでした。
 また、別の女性は「今年の冬はとても寒かったけれど、家族でストーブ一つでがんばったのですよ。そうしないと電力が足りなくなって、原子力発電所をつくらなければならなくなってしまう。原子力発電所をつくるよりはストーブ一つでがまんする方がいい。第一電気料が安くすむし、やればできるものですよ」と話していたのが印象的でした。
 便利な世の中になると、それと引き換えに何か大切なものを一つずつなくしていくのではないかと、妙に気になるのです。現在はオゾンの問題だけでなく、石炭などの化石燃料の燃焼による炭酸ガスがどんどん増えていて、地球が温暖化するのではないかともいわれています。温暖化したらどうなるのでしょうか。洪水が起きるほど大雨が降ったり、まるで雨が降らなかったりというような異常気象がひんぱんに起きるようになるかも知れません。海面が上昇するなどともいわれています。
 季節が順調に移ってくれないと農作物の収穫量に影響が出て、食料不足になります。こんなことにならないように、私たちはそれぞれ自分の置かれている立場で出来ることをしなければなりません。
 自分の周囲の植物を大切にする。リサイクルを心がける。エネルギーの使用量をおさえる。台所の生ゴミは土にもどす工夫をするなどしてゴミの排出量を減らす。店からよけいな包装紙やビニール袋をもらってこない等々、ちょっと考えるだけで、できることがいろいろあります。人間の生存に欠かせない空気はむろんのこと、水の汚れも共にふせげたら、きっと21世紀も住みよい社会になっているだろうと思います。

(静岡子どもの本を読む会 小澤絹子)

▼すすめたい本▲
「世界はいま……生活環境編、危機をむかえた地球の気候」(ジョン・ベックレーク著 根本順吉監訳 佑学社)
「子ども科学図書館、異常気象のなぞ―冷たい夏や暖かい冬はなぜおこるのか―」(新田尚著 大日本図書)
「台所から地球をきれいに」(小学生向 大月書店)
テキストファイル化塩野裕子