子どもの権利条約
シリーズ国連・6

リブリオ出版

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 今から五十年前ごろ、瀬戸内の小島では「鯛(たい)の一本づり」に十三歳前後の少年を売買し、食物も寝床もろくに与えず働かせていました。戦後、そんな少年が三人命がけで海を渡って駐在に逃げ込み、新聞が取り上げました。
 1951年になって「児童は人として尊ばれる」という「児童憲章」が制定されました。これは私たちの国の話です。
 では世界は……。
 世界中で今も子どもは過酷に扱われています。この本には人種差別、貧しさなどから大人にしぼりとられ、虐待され、五歳未満の千三百万人(年間)も命を落とし、労働力にこき使われる子どもが、三千万人とも一億人ともいわれる数で路上に放り出されている、とされています。
 「子どもの権利宣言」が59年に国連で採択され、その精神を国際条約として実現していこうと「子どもの権利条約」が提案され、89年にようやく国連総会で採択されました。日本は条約に書名しましたが、まだ批准はしていません。
 この本は写真やイラストで「子どもの権利条約」の条項の一つ一つをわかりやすく語っていて、こどもの「いのち」の重みと、人間の意味がわかります。
 「条約」の第42条に大人のみならず子どもに対しても同様に広く知らせることを約束する――とあります。まさに子ども自身の君やあなた、図書館で一度手にしてごらん。
 (仁)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化富田真珠子