恐竜のなぞ

アリキ/作
神鳥統夫/訳 小畠郁生/監修 リブリオ出版 1999

           
         
         
         
         
         
         
         
    
 アリキ(耳慣れない音だけど、この絵本の文も絵も描いている作者の女性の名前です)の恐竜シリーズです。
 恐竜の好きな子どもたちは、たーくさん、います。従って恐竜の本もかずかずあります。
 実際 “恐竜” は “のりもの” や “クリスマス” のように、子どもの本を並べようと思うときには必ずあがってくる、しかも一、二を争う人気の “ジャンル”です。
 でも、その山のような恐竜の本の中でも、アリキの本はバツグン!
 といってもこのテの科学絵本と言うのは、そりゃもちろん書いてあることは正確だし、たいてい書いてる人自身、自分が書く対象──クジラとかアンモナイトとか恐竜にね──が好きで好きでたまらない、という人が多いから、文章にも絵にも熱が入り、
愛情に満ちあふれ、従って出来のいいものが多いです。まあね、正確な知識を逆手にとられて、つまらない絵本を見わけるのが難しいということもありますけど──知識は正確でも魅力的かどうかは別だからね。
 そういうなかで、アリキの描く科学絵本はおもしろいです。わかりやすく、的確で、しかも魅力的です。読んだあとで博物館に行くと、私みたいなシロートでも、見る眼が変わったのがわかります。『恐竜のなぞ』、『恐竜のけんきゅう』、『恐竜をほりだす』、
『恐竜にあいにいこう』、『化石はおしえてくれる』、『進化ってなんだろう』の六冊シリーズは興味があるなら三、四才から上は年令を問いません。興味はなくとも、必要に
せまられて基礎知識が欲しい人にも充分役立ちます。大人なら五分で読めて、大筋は頭に入るでしょう。一度お試しになれば納得なさると思いますが、子ども用の科学絵本って,便利です。(赤木かん子

『絵本・子どもの本 総解説』(第四版 自由国民社 2000)
テキストファイル化安田夏菜