デブの国ノッポの国

アンドレ・モロア/辻昶=訳
集英社/1994

           
         
         
         
         
         
         
     
 これを書いたアンドレ・モロアは『プルーストを求めて』とか『ヴィク卜ル・ユーゴの生涯』などを書いた、有名なフランスの文学者です。でもなかなかお茶目な人だったらしく、この『デブの国ノッポの国』や『わがままいっぱいの国』のような子どもの本も書いたのです。うん、でも惜しかったよね。本格的に子どもの本を書いてくれてもよかったのにな、と思うよ。だってすごく子どもの本の「つぼ」を心得てるもの。タイ卜ルからしておもしろそうでしょ! そうして太っているエドモンとやせっぽちのティエリー兄弟がフォンテーヌブロ-の森の中で見つけた地下ヘ続いていく長い長いエス力レーターに乗ると、くいしんぼで働かないデブ人とやせてて働き者で、でも意地の悪いノッポ人の国がケンカをしている真っ最中で二人は引き離されてしまうのです……。この二冊はものすごく探偵依頼がきました。キーワードはこのエス力レーターですね。
「わがまま〜」のほうは入口で門番のでたらめ力ラスにテス卜されることでしよう(このテス卜では間違った答えを言わないと……合格しないのです)。実によくできているよ。(赤木かん子)
『この本読んだ? おぼえてる?』(フェリシモ出版 1999)