動物は夢をみるか?

ジョイス・ポープ

小原秀雄監訳・東京書籍


           
         
         
         
         
         
         
         
     
 これは動物に関するQ&Aが七〇ほど集められた本だが、ただ初歩的な質問と答えが並んでいるだけでなく、答えを掘り下げながら、かなり専門的な知識をイラスト入りでわかりやすく解説しているのがいい。
 質問自体も面白く、たとえば「動物はなぜねむるか」「動物の体色はなぜ背より腹のほうが薄いのか」「ハチドリの飛びかたはどう変わっているのか(ハチドリは空中停止ができる)」「動物のからだにはなぜ大小の差があるのか」「鳥にはなぜ羽毛があるのか」などといった質問が続く。
 なかでも「ノミはなぜ跳ぶか」という質問など、「ええっ、どうしてそんなこときくの。そんなのノミの勝手でしょ」といいたくなるが、一三二ページを読むと、体長の三〇〇倍以上の距離を跳躍することができるノミには、それなりの理由があることが納得できる。そしてなぜそんなに跳べるのか、その跳躍力の秘密もわかるし、そのうえノミは跳躍をしながら宙返りをするということも紹介されていて、さらに宙返りをする理由まで説明されている。それにしても、ノミが宙返りをすることを発見した人は偉い。
 この本を読むと、自然てすごいと驚かずにはいられないが、何事にも疑問を感じないではいられない人間という動物の不思議さにも驚かないではいられない。(金原瑞人

朝日新聞 ヤングアダルト招待席 1988/08/07