タイコたたきの夢

ライナー・チムニク:文・画
童話屋

           
         
         
         
         
         
         
    
 タイコたたきたちは、タイコをたたき、「ゆこう どこかにあるはずだ もっとよいくに よいくらし!」と呼びかけながら先へ先へと進んでゆきます。
 そう、人間の歴史は、タイコの音にひきつけられて【もっとよい】【どこか】をめざすタイコたたきたちの通ったあとなのです。自由な世界と平等をめざした新大陸への移住も仲間との協力や豊かな実りも、そして侵略戦争と環境破壊もみんなタイコたたきたちのやったこと−−この物語はそう語っています。
 タイコの音を聞いても、ひきつけられたりしない人たちもいます。彼等は昔ながらの身分と暮らしを、がまんして続けるかわりに、戦争もしないようです。
 タイコの音が何を意味するか、作者は何も言っていません。人間はなぜタイコをたたきたくなる時があるのか、それがよいことなのか悪いことなのかも。
 でもそれは読者が考えること。中学生あたりに読んでほしい本です。(佐)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化古賀ひろ子