とりかえっこちびぞう

工藤直子/作 広瀬弦/画
学習研究社 1994

           
         
         
         
         
         
         
     
 元気で、好奇心旺盛なちびぞうは、いつも「なにか」をするのが好き。
 きょうの「なにか」はとりかえっこ。散歩の途中、ライオンのたてがみ、しまうまの尻尾、ワニの歯、サイの角を借りて、"らい・しま・わに・さい・ぞう“ になってうちに帰る。
 たっぷりおやつを食べた後、ちびぞうはとりかえたものをそれぞれに返し、もとのちびぞうに戻る。
 ちびぞうを取り巻く世界はゆったりとしており、安定感がある。言葉のリズムか心地よく、センスがよい。
 線画と淡彩のぺージが交互に配され、スムーズに物語の世界に引き込まれる。
 文章のとぼけたイメージを挿絵がうまく表現し、味わい深い仕上がりになっている。
 かわいいとは言い難いが、愛らしいちびそうの姿に幼い読者は引き付けられるだろう。
(喜多由美子)
『子どもの本-新聞書評から7』(子どもの本書評研究 1996)