父さんの小さかったとき

塩野米松:文
松岡達英:絵 福音館書店

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 小学生、中学生のお父さん、お子さんと遊んでいますか? 休日にテレビの前でゴロゴロ? それとも、付き合いゴルフ? 子供たちは「お父さんと遊びたーい」と叫んでいます。
 そこで、この絵本をお勧めします。絵と文の作者たちは、ちょうど今のお父さんたちと同世代です。
 まず、表紙が楽しくて、裏表紙までじっくりと見てしまうでしょう。そして、表紙を開くと、「これっ、父さんの写真?」「そうだよ。父さんが小さかったときの写真だよ」「父さんが子供のころの話をしてよ」と始まり、タイトル通り父さんの小さかった時のことが、父と子の会話を通して語られていきます。
 昔の(といっても、まだ三十年もたっていないのですが)街。暮らしぶりや遊び、学校の様子と、戦後生まれの親が子供に伝えたいものが、ぎっしりつまっています。白黒写真しかなかった時代に戻ったような描写は、見る者にとって、その時代の息遣いが聞こえて来るような気がします。
 この本を通して、親と子がそれぞれの思いを巡らし、会話が生まれ、「現在(いま)」を考えるのではないでしょうか? もう一冊、「母さんの小さかったとき」もお勧めします。
(雅)=静岡子どもの本を読む会
 テキストファイル化清水真保