ねこかぶりデイズ

錦織友子

小峰書店 1997

           
         
         
         
         
         
         
     
 小林奈々は小学5年。転校先、初めての教室での自己紹介。ブラッシングの行き届いた髪、ピンクのブラウスに、プリーツたっぷりのスカート。消え入るような声で、「よろしくお願いします・・・」。担任はいう「小林氏は恥ずかしがりやだな」と。男の子達のささやき声も、「おとなしそう」「かわいい子だな」。
タイトルにあるようにそれはねこかぶり。ホントの彼女はトムボーイ。とても元気な女の子。いじめられている友達を助ける正義感も一杯。ところが、前の学校で、そんな彼女は、実は友達からも疎まれていたことを、知らされる。そんなショックの折り、父親の転勤で引越しすることに。これ幸いと彼女は、新しい学校で「女らしい」キャラクター、これまでの自分と全く違う自分を演じる決心をしたのですね。
ウソの自分は思った以上に受け、男の子にはモテ、女友達もできるのですが・・・。
そのあと物語がどう展開していくかは、たぶんあなたのご想像のとおりなのですが、子供たちがこの国の日常をサバイバルするためにどう自らをロールプレイしているかの一端はよく捕らえています。
「ねこっかぶりデイズ」ってタイトルがいい。(ひこ・田中

メールマガジン児童文学評論1998/02/07