ブックガイド・歴史と社会をよむ


岩波書店



           
         
         
         
         
         
         
         
    
 今日は岩波の看板雑誌「世界」の臨時増刊『ブックガイド・歴史と社会をよむ』を紹介してみたい。これは、今の若者たちに読んでほしい歴史と社会についてのブックリストである。前半は様々なジャンルで活躍している五〇人の勧める本。
 面白いのは橋本治が中公文庫の『日本の歴史・全二六巻』を、氷室冴子が『レ・ミゼラブル百六景』を、ピーター・バラカンが池波正太郎の『鬼平犯科帳』を、渋谷陽一がつげ義春の『必殺するめ固め』を、宮崎駿が『栽培植物と農耕の起源』を勧めていることだ。これをみてわかるように、いろんな人々が思い思いに好きな本をほめている。はっきりいって楽しい。
 もちろん『資本論』とか『言葉と物』といった堅い本をあげている人もいるのだが、それがまた、やけに楽しそうに紹介してあるので、つい読みたくなってしまうのである。
 後半はテーマ別になっていて、「日本の近代化」「戦争の嵐」とか「マンガ」「TVドラマ」など二四のテーマに分かれている。最後には赤川次郎の短編がひとつ。なんとも遊び心たっぷりの企画である。 ついでに『ヤングアダルト図書総目録』(ヤングアダルト図書総目録刊行会・三〇〇円)も紹介しておきたい。これは一〇七の出版社がだしているヤングアダルト向けの本四三五〇冊を紹介したブックリストで、それぞれに四〇字前後の紹介がそえられていて、なかなか便利だ。(金原瑞人

朝日新聞 ヤングアダルト招待席 1988/05/21