灰色の谷の秘密

A・マスパン:文
河盛 好蔵 林田 遼右共:訳 福武書店

           
         
         
         
         
         
         
    
    

 だれも知らない秘密のどうくつを探検することができたら、どんなにすてきだろうと思いませんか。
 主人公の「ぼく」と妹は、夏休みの間、サール村のおじいさんのところにあずけられることになります。この村は、スペインとフランスの国境近くのバスク地方にあり、独特の雰囲気と歴史を持っています。そこで二人は、風変わりな兄弟にあい、次第に心からの友達になっていきます。
 この四人が、秘密のどうくつを探検するうちに、考古学の上での世界的な大発見をすることになるのです。
 秘密と冒険と友情、この三つがそろっていて、出てくる人物がチャーミングなのですから、読み出したらもう止まりません。現にこの本は、審査員が全員児童であるというサロン・ド・ランファンス賞をうけています。フランスの数ある賞のうち、最も権威があり、ユニークなものです。仲間である子どもたちが一番おもしろいよと言っているのです。これ以上のおすすめの言葉はありませんよね。
(弥)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化山本京子