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しかし、好事魔多し。泥棒がはいったとき、マディスンが大声で助けを呼んだために、彼自身がさらわれてしまう。その彼がどのようにして難をのがれるかが後半のユーモラスでスリリングな物語。 イギリスの作品らしく、小さなオウムがどうやって公衆電話をかけるかなど、細部が丁寧に描けていて、いわば荒唐無稽(むけい)な話に真実味を加え、面白さを濃密なものにしている。ナンセンスやユーモアは言葉のゲームでもあり、この物語もアメリカ英語とイギリス英語の表現の違いが大きな要素になっている。そこは十分に訳しきれていないが、訳者の努力は、軽快な読みやすさでむくわれている。(神宮輝夫)
産経新聞 1996/11/29
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