ママはだめっていうけど

サッチャー・ハード/作 わき あきこ/訳
福音館書店 1990

           
         
         
         
         
         
         
    
 フクロネズミのマイルスは、おたんじょうびにウェイロンおじさんから金色に輝くサキソフォンをもらいました。ホラ、よくジャズなんかで吹いているラッパみたいなやつです。
 でね、パパもママも最初は、アラ、よかったことっていってくれたんだけど、マイルスが練習を始めると………とうとうがまんできなくなってしまいます。ま、無理もないよね、下手クソな金管楽器というのは、頭にこたえるもんですよ、そりゃ。
 外に追い出されたマイルスはドラムたたきのアルに会い、ギターひきのバートと出くわし、トランペット吹きのドクと意気投合し、そうして町じゅうの人たちの、
「そんなにやりたきゃ、川っぷちでやりな!」
という大合唱に送られて川に行きます。やれやれ、いつの時代も問題は同じだね。
 ところが捨てる神あれば拾う神あり、でさ、川っぷちのワニたちがオレたちのパーティーでやってくれよと、というわけ。でもって彼らが演奏したお気に入りの曲は、
「ママはやめなさい!うるさい!だめっ!っていうけれど」
「でもそんなのかまっちゃいられない、バン、バン、バンドでがんがんうたっちゃおう!!」
っていうのよ、ハハハ。うしろに楽譜もついてるけど、でも別に好きに歌ってかまわないよ。歌詞だって、自由に作っちゃえばいいし、いいから思いっきりバンバン歌っちゃおうぜ。
 で、ラスト、どうなったかはそりゃ読んでのお楽しみ!ワニたちがよ、あっさり帰してくれるわけないもんね、フクロネズミのごちそうを−。どうぞ思いっきり歌って下さい。もしかしたらママに「ダメ!」っていわれるかもしれない………けどさ。(赤木かん子 『絵本・子どもの本 総解説第5版』)

テキストファイル化天野真美