ゆうれいとすいか

くろだかおる作 せなけいこ絵

ひかりのくに

           
         
         
         
         
         
         
     
 五月の連休も終わると、次に楽しみなのは、なんといっても夏休み。
 でも、夏は暑いから、いやだっていう方もいらっしゃるのでは? でも、もし、食べるとすーっとすずしくなる、「青いスイカ」が手に入ったら、夏の暑さも気にならなくなるかも…。

 冷やして食べようと思って、井戸にスイカを沈めていた男の人、いざ、食べようとつるべをひきあげてみると、スイカが消えているではありませんか! 実は、井戸に住むおばけかスイカを食べてしまったのです。
 怒った男の人は、スイカを食べてしまったかわりに、ぶんぶんとうるさい蚊を取れとか、背中をおせとか、おばけにさんざんいろいろなことをさせておきながらも、やっぱりスイカが食べたくてたまりません。
 おばけが、人間のスイカはありませんけれど……と言って持ってきたのは、なんと、おばけ組合で作ったとかいう、青いスイカだったのです。
 このスイカ、一口食べると、背筋がゾゾゾー。汗も吹っ飛び、体中がひんやりしてくる。そこで、商魂たくましく、男の人はおばけに、スイカをたくさん持ってこさせて、人間の世界で売りはじめるというのが、この絵本のあらすじです。
 それにしても、面白いアイディアではありませんか? おばけの持ってくる青いスイカ、なんて。青いスイカを食べている男の人の顔は、本当に「ぶるぶる」という音さえ聴こえてきそう。アイディアが面白いのは、スイカばかりではありません。おばけが蚊をつかまえるところでは、昔ながらの「ところてん突きを使って、蚊を退治するのですが、そのやりかたにも、思わず笑ってしまいました。
 青と深緑色を使ったバックに、貼り絵で描かれた男の人とおばけの姿は、実にすっきりとしていて、印象的です。バックは、物語の場面によって色がかわります。文章では説明されていなくても、色を見ているだけで、知らず知らずのうちに、場面が外から家の中に移ったことが、分かるというしかけです色々な種類の紙を効果的にはりあわせて使用しながら、単純な形と色で、お話の雰囲気を盛り上げています。また、貼り絵ならではの、明快な線は、この物語に明るさとユーモアを与えてくれています。

 夏になって、井戸を見つけてスイカを沈めたら、そこに住んでいるオバケが、みなさんにも青いスイカを届けてくれるかも・・・。(米田佳代
徳間書店 子どもの本だより25 「絵本っておもしろい」1998/5,6