おばあちゃん

大森真貴乃:作
ほるぷ出版

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 ”おばあちゃん”ということばのひびきと、針仕事をしている表紙のかわいい”おばあちゃん”を見て、思わず手に取ってしまいたくなる絵本です。
 はたらきものでしっかりもの、だれからもすかれ、だれからもたよられていたおばあちゃん。
 ある日、天神さまでころんでけがをしてから、元気がなくなっておかしくなってしまいました。昔つかっていた、ほこりだらけのかまどをさがしたり、たらいでせんたくをして、水びたしにしてしかられたり。
「おばあちゃん だいじょうぶ?」「おばあちゃん あかちゃんになってくみたい」
 おばあちゃんと家族とのふれあいを、独特なタッチの絵と構図、そして色彩で描き上げ、グングンひきつけます。
 おかあさんにだかれて、ごはんをたべるおばあちゃん。
 だれがこえをかけても、こたえなくなったおばあちゃんを、しっかりだきしめ、大きなこえでないたおかあさん。人間の生と死。この重いテーマを作者の温かさによって、読む人を深い感動でつつむでしょう。
 おとしよりと暮らしている、いないにかかわらず、ぜひ親子で一緒に読んで欲しい一冊です。
 第八回絵本にっぽん新人賞を受賞。(雅)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化大塚菜生