|
ジェンダーに関わる要素を意識的に使用することを、最近の児童文学は始めています。最近では『そして永遠に瞳は笑う』や『ザンジバルの贈り物』などがそうです。それらは、「女の子(女)」であることだけでの理不尽が強く意識されています。 だからといって、それだけがテーマとなっているのではなく、その理不尽に無自覚のまま物語を成立させるわけには行かない、との認識がごく自然に備わっているだけです。 この物語もそうで、地方予選の決勝戦まで行った中学生チームのエースである「ぼく」が主人公。このチームが、新チームとなったとき、最初の練習試合を女子の野球チームとすることになり、相手のエースは、以前女の子だからとチーム入りと断られた、「ぼく」の幼なじみ・・・。 この練習試合にスペースを割き過ぎていて、物語バランスがいいとは言えませんが、肩ひじ張ることなく、ジェンダー問題が出てくる辺り、まさに現代の物語といえそうです。(ひこ・田中)
メールマガジン 1998/05/25
|
|