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こぐまのくんちゃんを主人公にした絵本がはじめて日本に紹介されたのは、もう十二年も前のことである。その後、出版社と訳者を変えて、あわせて七冊もの「くんちゃん」の絵本が出た。 当時、新たに「くんちゃん絵本」が出る度にワクワクしながら読んだものだった。くんちゃんとお母さんぐま、お父さんぐまとの関係が、たいへん素晴らしかったからだ。そして、「くんちゃんのはじめてのがっこう」には、学校の先生も登場し、授業の様子がうかがえる。 ここに描かれているのは教育の原点というべきものである――などと言うと「くんちゃん」の読者にしかられるにちがいない。確かにそんな大層な表現はあたらない。それほど大人と子供の関係が、全作品を通して自然にあたりまえに描かれているので、そのことを気づかせないほどだ。子供の自発性を尊重し、子供の疑問や不安を包みこんでいく大人と、だからこそ安心して物事に挑戦し成長していくくまの子がいる。 くんちゃんがおじけづいて、教室の外へ逃げていってしまうところが、この作品の見せ場である。この時、先生はくんちゃんの気持ちを無視したのではないことが後の展開で分かる。原文ではみつばちとこうもりとビーバーがくんちゃんの頭文字と同じ”B”で始まっていることを付け加えておこう。(柿)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化大塚菜生
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