|
シャーロック・ホームズやアルセーヌ・ルパンのファンに、ちょっと気色の変わった探偵小説を紹介します。 これはソビエトの子どもの本で、活躍するのは十二歳のアリク少年です。友だちから「探偵」と呼ばれるアリクは、探偵小説大好き少年で、「末は探偵小説作家」ときめています。ある日、彼はクラスの文学クラブの仲間たちと、その市出身の有名な作家が書いた探偵小説の舞台である”古ぼけた別荘”の探検に出掛けますが。 一章、二章、三章、何事もなく物語は進みます。これが探偵小説? と思っても、アリク得意の、「観察をするどくして」読んでいくと(実はここに大切なカギがかくされている)、やがて起きるドキドキハラハラの恐ろしい事件――地下室のドアは固く閉ざされた暗闇(やみ)の中に。 果たしてアリクは別荘の謎(なぞ)を解き、仲間たちを救えるでしょうか。憧(あこが)れの美少女ナターシャは? 何が起こっていてどうなるか。それはもちろんヒミツです。でも、この物語は、アリクが事件を思い出して書いたということになっている、と言えば心配症の君も少しは安心するでしょう。 まじめ少女ミロノーワや、「亡者」「記念日王子」などのあだ名で呼ばれる少年たちが、ユーモラスに個性豊かに、生き生きと描かれています。(和)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化大塚菜生
|
|