ぼくが恐竜だったころ

三田村信行:作
佐々木マキ:絵 ほるぷ出版

           
         
         
         
         
         
         
    
    

 こどもたちは、恐竜が大好きです。図書館の「恐竜の本」のコーナーは、いつ行ってもこどもたちでにぎわっています。恐竜には、ロマンがあるからでしょうか。
 こどもたちは、実によく恐竜の名前を知っています。ブロントサウルス、テスケロサウルス、トリケラトプス、ティラノサウルス……といった具合に、次から次へと出て来ます。そうした恐竜が、突如、なぜ地球上から姿を消してしまったのでしょうか。多くは、ナゾに包まれています。
 この本は、まだ恐竜が生きていた白亜紀と現代を行きつ戻りつしながら、SFの世界へと引き込んで行きます。こどもたちがワクワクするような恐竜が、たくさん出て来ます。
 去年の夏休みの、最初の日。すべては、その日に始まった。恐竜の好きな少年は「よみがえる恐竜展」に出掛け、そこで古生物学者の大矢野博士に「本物の生きた恐竜をみたくないか」と誘われます。
 テスケロサウルスに変身した少年は、六千五百万年前の世界へタイムスリップして、少しずつ恐竜たちの生活になじんでいきます。やがて、恐竜が滅ぶ時がやってきます……。
 四百ページに及ぶぶ厚い本ですが、読み始めると、夢中になってやめられません。少しずつ区切って読んであげるのも、いいでしょう。きっと、この本は読む楽しさを教えてくれることでしょう。小学校中学年から。ほるぷ出版。1600円(税込み)。
(天)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化天川佳代子