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毎年六月には会社の健康診断があります。希望者は歯科検診も受けられるのですが、ちょうどその時期におもしろいなと思ったのが、この「せかいのこどもたちのはなし・はが ぬけたら どうするの?」です。 そう、タイトルが示す通り、世界中の、子どもの歯が抜けた時の風習を集めた本です。 児童文学にもよく登場するトゥース・フェアリー(歯の妖精)は、子どもが枕の下にいれておいた乳歯を持っていって、かわりに硬貨を置いていってくれます。これは、英語圏で信じられている妖精だそうです。この本を読むまでは、歯の妖精というのはヨーロッパじゅうで信じられているのだと思っていたのですが、実はそうではありませんでした。フランスやスペインでは、小さなネズミが歯を持っていき、かわりにプレゼントを置いていってくれるようですし、スウェーデンでは歯を枕の下に入れるかわりに、コップの水の中に入れておくようです。ドイツでは、なんにもしない! と書いてありました。日本では、みなさんご存じのとおり、下の歯は縁の下に放りますね。 では、ほかのアジアの国ではどうするのでしょう? この本によると、中国、韓国、ベトナム、シンガポールなどでは日本と同様、下の歯は上に、上の歯は下に、放るのが一般的なようです。歯がまっすぐ伸びるようにという願いがこもっているのです。 他の地域も見てみると、歯を埋めて願をかけるところもあれば、金でめっきして、イアリングにしたり、ネックレスにするところ、抜けた歯をパンの中にうめこんで、動物に食べさせるところ、畑に植えるところなど、本当にさまざまです。 さて、この本を読み終わって、「へえ」と思ったことが一つありました。それは、世界中のあらゆる所で、歯を持っていく動物にネズミが登場することです。フランス・スペインばかりでなく、アメリカ大陸、アフリカ大陸、ユーラシア大陸――アジアから中近東まで、ネズミと歯の関係は世界中いたるところで見られるようです。 ネズミは生物学上では齧歯類()という、哺乳類中最大の種類がいる動物のなかまですが、この「噛む歯」という意味の齧歯類の一種のネズミが、人間の歯を持っていく……というのは面白いなあ、と変に感心してしまいました。(もっとも、次ページにあるとおり、現在編集部にはネズミがうろちょろしているので、「ネズミ」という言葉に敏感になっているせいかもしれませんが……)。 本のおしまいには、歯についての説明がわかりやすく書かれています。歯科検診直後に読んだせいか、この部分もじっくり読んでしまいました。もっとも、「親不知()は大きくなって知恵がついたころにはえてくるので、智恵歯ともいう」という文を読み、親不知が一本もない私は「むむむ、私にはやっぱり智恵がないのか」と頭を抱えてしまいました…。(米田佳代子) |
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